ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の中に生息している細菌です。年齢が高くなるほど感染率が高くなるといわれています。
このピロリ菌から作り出されるいろいろな物質が胃粘膜を傷つけ、様々な病気を引き起こすことが知られています。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は代表的な病気でピロリ菌が深く関与していると考えられ、その除菌治療を行うと再発率が劇的に改善されるようになりました。
また、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌の内視鏡的治療後の3疾患についてもピロリ菌との関連が認められ、H22.6月からは除菌療法が保険適応になりました。
その他、小児の鉄欠乏性貧血、原因がはっきりしない慢性蕁麻疹などもピロリ菌との関連が疑われています。
 
胃がんについても、多くの分化型腺がんは萎縮性胃炎と関係しており、その粘膜の萎縮がピロリ菌と関連していることはほぼ間違いないようです。
しかし胃がんの予防として萎縮性胃炎に対する除菌治療は、残念ながら今のところ保険では認められていません。

さて、そのピロリ除菌療法ですが、プロトンポンプ阻害剤という胃薬と2種類の抗生物質を1週間服用します。約8割はピロリ菌が完全に消失するといわれています。
この治療でうまくいかなかった場合は、抗生物質を変更してもう一度同じように治療を行います。副作用の問題などもありますので、医師から詳しい説明を受けてください。

森川内科クリニック
森川 卓