細菌やウィルスなどの外来物(「非自己」)が攻めて来たときに、病気にならないようにこれらの「非自己」を攻撃し、体を防御するシステムを「免疫」と呼びます。
免疫系の仕組みは、本来、外部からの有害な異物の侵入に対して、生体を守るために自動的に働く防御機構です。

しかし、時には、この免疫系の自分を守るはずの働きが、結果的に自分自身に有害に作用することがあります。これをアレルギー反応と呼びます。

例えば、小麦粉や卵等を食べた時に発症する蕁麻疹やアレルギー性鼻炎などがあります。このアレルギー反応が、本来味方であるはずの自分自身を、敵か味方が判別できなくなり、見境なく攻撃してしまうことを自己アレルギーと呼び、それによっていろいろな症状が出ることがあります。

免疫機構が自分自身(「自己」)に働いてしまい引き起こされた病気が、「自己免疫疾患」です。
「自己免疫疾患」とは細菌やウイルス、腫瘍などの自己と異なる異物を排除するための役割を持つ免疫系が、本来の働きをせずに自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで異常を来す疾患の総称です。
本来は、自己を守る仕組みになっているはずの免疫の異常により引き起こされる病気です。

自己免疫疾患には2種類あり、全身に影響が及ぶものを全身性自己免疫疾患といい、特定の臓器だけが影響を受けるものを臓器特異的疾患といいます。

全身性自己免疫疾患には、膠原病(関節リウマチや全身性エリテマトーデス等)、 多発性筋炎、多発性血管炎等があり、臓器特異的自己免疫性疾患には、自己免疫性溶血性貧血、潰瘍性大腸炎、(甲状腺の)バセドウ病、橋本病。(膵臓の)若年性1型糖尿病。(肝臓の)自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変などがあります。

山﨑医院
山﨑 美綠