痛みには大きく分けて“急性の痛み”と“慢性の痛み”があります。

“急性の痛み”は病気やケガなどによる痛みで、身体に生じた異常事態を知らせる警告反応として有益な役割を持っています。この場合は、検査をして原因に対する治療を行うことが大切であり、通常は一般的な治療で軽快することがほとんどです。“慢性の痛み”には有益な役割の意味はすでに無くなっており、痛み自体が病気と言って良い状態です。

具体的には、帯状疱疹の痛みなどの神経痛や慢性の頭痛、肩や首の痛み、腰痛などで、日常生活に支障が起こる場合は、ペインクリニックの診療対象です。
つまり、ペインクリニックとは、痛みを減らす治療を専門とする痛みの治療・疼痛専門外来のことです。

ペインクリニックにおける治療方法といいますと、圧痛部局所筋膜内注射(トリガーポイント)、神経ブロックなどを始めとする、手術以外の方法に、内服薬・ホットパック等を併用します。

神経ブロックとは、痛みの原因の神経に局所麻酔薬(歯を抜くときに使う麻酔薬)などを注射する方法です。

局所麻酔薬の直接効果で、痛みが一時的に軽くなりますが、効果はそれだけではありません。痛みの場所の血流が良くなり、その場所の凝りがゆるみ、痛みの原因物質が血流の循環で洗い流され腫れがひきます。この治療を繰り返しますと、一回一回の薬の効果時間は短いのに、次第に痛みは軽くなり、すっかり治ってしまうケースも珍しくありません。

最後に、注射というと痛いのではないか?と思われるでしょうが、細い針を使うのでそれ程痛くありません。予防接種の方が痛いくらいです。注射がどうしても嫌な患者さんには無理に行いません。嫌々受けた神経ブロックはむしろ全身の緊張が強くなり、効果が打ち消されてしまう場合が多いようです。神経ブロックを受けている患者さんにも必要に応じて、内服薬やホットパック等の治療も併用します。

都クリニック
都 正彦