日本脳炎は広くアジア地域で発生するウイルス性の脳炎です。死率はやく20%であり、50%に後遺症を残す怖い疾患です。
 
日本では5月から10月に発生します。日本脳炎ウイルスは、水田で主に発生するコガタアカイエカを介して、豚から豚に感染しウイルスが増幅され、ウイルスを持った蚊に刺されることより人に感染します。人から人へ直接感染はありません。
感染した蚊に刺された人がすべて脳炎になるわけではなく、約千人に一人が脳炎になるものと推定されます。年齢的には5才未満の乳幼児と60才以上の老人に多く発症します。
 
日本脳炎の症状と診断について説明します。発症は突然の高熱、頭痛、嘔吐ではじまり、髄膜炎と同じような症状を呈します。3-5日くらいして意識障害、けいれん、、異常運動、筋肉が硬くなるなどの脳炎としての症状におちいります。
発症後一週間目くらいに死亡する例が多いとされています。日本脳炎の診断は脳脊椎液からのウイルス抗原検出や抗体の上昇、また血清中の抗体上昇を証明することでなされます。
日本脳炎ウイルスに対する特別な薬剤はありません。そこで日本脳炎ワクチンを幼児期はやめに接種することが予防として大切です。
 
現在、予防接種法では、1期に3回〔初年度1-4週間隔で2回、1年後追加を1回、3才以上の幼児)接種し、以後9-10才〔小学4年)14-15才(中学生)で追加接種するようになっています。
1980年以後日本脳炎患者の発生は激減していますが、ウルイスが日本からなくなりつつあるわけでも、ブタの感染がなくなったわけではありません。予防接種を受ける人が減少してくると、再び日本脳炎の発生は増加に転じる可能性があります。

もり小児科
森 剛一