夏かぜといわれる疾患群は冬や春先のかぜとは症状が異なります。
 
冬のかぜは咳、鼻汁などの上気道症状が主ですが、夏かぜの場合は高熱、頭痛、咽頭痛(ノドの痛み)腹痛、嘔吐などが主な症状です。
 
代表的なウイルスとしてはエンテロウイルス腸管系ウイルス)とアデノウイルスです。
代表的な疾患では、アデノウイルスは咽頭結膜熱(プール熱)、エンテロウイルスではヘルプアンギーナやコクサッキーA群やエンテロ71による手足口病があげられます。
夏かぜでは高熱を伴いますが清浄は速やかに改善し予後も良好です。
 
エンテロウイルスにはポリオウイルス、コクサキーウイルス、エコーウイルス、エンテロ70.71ウイルスなどがあります。ポリオはワクチンの普及により、現在では野生株での発生はみられません。コクサッキー、エコーウイルスにはウイルス性髄膜炎を引き起こしやすいものがあります。
毎年夏かぜ流行時には髄膜炎の発生がみられます。
時に地域的に大流行を起こすこともあります。
 
髄膜炎の症状は発熱の他に頭痛、吐気、嘔吐ですが、夏かぜに罹った場合、高熱と伴に頭痛や嘔吐が強い場合は髄膜炎との合併を考えなくてはなりません。
ウイルス性髄膜炎の予後は良好ですが、中には脳炎を起こすこともありますので注意が必要です。治療としては対症療法すかありません。
 
夏かぜにかかった場合、有熱時はもちろんですが、解熱し症状改善後も数日間は安静をとる必要があります。
 
またエンテロウイルスは腸管から排泄されますので、解熱後すぐにプールに入ることはできません。

もり小児科
森 剛一