転換期となった「第3回オール関東選手権大会」 下の画像は、MSL誌1967年5月号NO.19に掲載された「第3回オール関東選手権大会」の結果詳細ページである。 この大会は、その後の日本モデルカー・レーシング界を左右する出来事が満載である。 1) FT-26Dモーターが発売され、ほとんどの参加車両が使用。 2) タミヤ製ダイキャストスプリングサスペンション付きサイドワインダーシャーシの躍進。 3) マイティボディのクライマックスとスーパーボディのライト工業の攻防 3)に関しては、「国産クリヤーボディ探求」の後編に譲るとします。 1966年に発売されたタミヤ製ロータス40と1967年初頭に発売されたFT-26Dモーターの登場は、衝撃的であったと思う。 下の表は、「第3回オール関東選手権大会」の各クラス上位3位までの入賞車の詳細を記載したものであるが、フォーミュラクラスは別として、GTクラスとストックカークラスは、すべてサイドワインダーシャーシとなっている。さらに、ストックカークラスでは、タミヤ製ダイキャストスプリングサスペンション付きサイドワインダーシャーシが独占している。第2回大会までは、タミヤのB型シャーシを改造したインラインタイプがほとんどだったことを考えると半年の間のこの変化は凄まじいものがある。 モーターはというと、ほとんどが新しいFT-26Dを使用している。FT-26Dについては、モデル・スピードライフリターンズ第1号の前編において書かせて頂いているのでそちらをご覧いただければ幸いだ。 さて、AYKだが、GTクラスの上位2台は、AYK製のFT-26D用サイドワインダーモーターマウントR: 512を使用した自作シャーシである。実は、私も中学3年生頃であったと思うが、このAYK製R: 512マウントには大変お世話になったものだ。これがないと自作シャーシは作れないので本当に重宝した記憶がある。 特にシャーシとは関係ないことだが、各車のホイールとタイヤであるが、この時点での最良な選択は、フロントがダイキャスト製スピードライフ製ホイール(元ゴーセン)にクライマックス製ハードタイヤ、リアが同じくスピードライフ製ダイキャストホイールにストックカークラスではゴーセン製ワイドスポンジタイヤ、GTやフォーミュラでは長谷川製スポンジタイヤが多く、タミヤとゴーセンワイドが少数という感じであった。 まだ、1967年は、小径タイヤが主流になる前のまだリアル感覚が残る最後の時代のレースであったと思う。 |
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続けて、第3回オール関東選手権大会から約半年後の1967年8月20日に東京 赤坂テアトルサーキットで開かれた「第3回全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」の上位入賞車を見てみよう。 |
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1967年度「第3回全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」で驚くべきことに、これまでサイドワインダー方式を取るのがボディ幅などの問題で不可能と思われていた“フォーミュラクラス”において、上位3位までだが、すべてサイドワインダー方式の自作シャーシで埋められたのだ。 それはFT-26Dモーターの縦横サイズにより、幅の狭いシャーシが製作可能になったことである。 そして、もう1つの要因として当時のF1よりも幅の広いインディーカーのクリヤーボディが発売されたことである。 意識的に当時の最先端のインディカーを次々と発売していったクライマックスの戦略は、レース参加者だけに限らず、エンドユーザーである私のようなレースマニアの心を掴みとったと言える。 さて、1967年を締めくくるのは、11月12日にレースウェイムサシノで盛大に開催された「第4回オール関東選手権大会」である。年2回春と秋に開催されるオール関東と、真夏の中、年一回の全国大会「全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」、1年の最後に行われる締めくくりのこのレースも覗いてみよう! |
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ニューウェーブの登場に沸いた「第4回オール関東選手権大会」!! AYKのゴールドロッドシャーシがまだ発売される以前の1967年の11月、いち早くアメリカのモデルカーレーシング事情を察知し、当時現地で活躍していたイカダ式シャーシのアイデアを日本で再現したレースウェイ・ムサシノの技術陣たち。 その努力が実り、チームムサシノは上位を独占して見せたのだ。 しかも、それらはインライン方式を採用していた。 あれだけ猛威を奮っていたサイドワインダー式シャーシは、上位に食い込めず地元ムサシノの新しいインラインシャーシの前に敗れ去った。しかも、あれだけ強さを見せつけていたストックカークラスでのタミヤD型シャーシは姿を消し、上位はすべてムサシノタイプのインラインシャーシが独占したことはある意味カルチャーショックであった。 そして、上の各車詳細を見ていると、フォーミュラクラス準優勝のSTPスペシャルのシャーシは、なんとAYKのR: 555-5 NO.1の改造型で上位中唯一のサイドワインダーシャーシであった。 面白いことにこのシャーシの特長であったピアノ線を利用したフロントフリーホイール機構部分が取り除かれて通常のタイプに直されているところが面白い。フリーホイールでは強度的に問題があったか。 また、インラインシャーシのモーターマウントはほとんどがAYK製R: 511を使用している。 このレース結果により、従来の常勝シャーシであったタミヤ製B型やD型シャーシの時代は終わってしまったのだろうか。1968年のメジャーレースの開幕を飾るのは3月31日の「第5回オール関東選手権大会」である。 |
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