素材の進化によって、軽量で機能的なバッグが町に溢れています。
旅行の時などに便利そうだな、と思って手に取ってはみるのですが…それ単体としては存在感があっていいけれど、全体で見たときに、期待しているのとは違う意味でバッグが目立ってしまいそう、と躊躇してしまいます。
もう少し、着ているものに馴染む素材で、かつ、やはりおしゃれ感や遊び心があるものを、自分で作れたらいいなぁ、と思っていました。
イメージとしては、便利なポケットが複数装備されていて、色はシックだけど、生地には拘りたい…そんなことを思い描きながら、年末年始にアトリエの片付けをしていると、生地をざっくり収納した籠の中から、懐かしいプリント地を発見というか発掘。
そういえば、いつか自分で洋服作ろうかな、と思って取っといたのよね…って、さぁ、どんだけそういう生地があるわけ?と大掃除のおかげで、かなり在庫を把握してしまっているもう一人の自分がつっこむ!
生地自体は知人から譲ってもらったもので、その方も別の方から譲ってもらったものらしく、どこの国のいつ頃のものというのは不明。手触りは昔の長襦袢なんかに使われたモスリンに似ているんだけど、色の感じや生地の幅からして日本のものではなさそうです。私には、どことなく乾いた土地の色に見える、たとえば、アフリカとか、アジアの草原地帯とか。
そんなイメージからか、合わせる無地は砂漠の砂のような色に決まりました。
そして、このプリントを生かすためにも、是非、やってみたいことがあるのです。それは、そう、「隠しマチ」。ときどき、ビジネスバッグなどでお見受けするあれです。通常は同じ素材で拡張するんだけど、ここが違う生地になっていたら、何か、バッグのレイヤードスタイル、みたいで素敵じゃない!と、ひとり興奮。けど、あれって、どういう構造になっているのかしら?
バッグ売り場を回れば、サンプルになりそうなものを見つけることも出来ると思ったけれど、私にとっての重要課題、「作りやすい構造にする」ということをクリアするためにも、ここは1から自分で考えたほうがいい、と思い、紙や布を使って試作を繰り返し、何とか納得できる形が完成しました。実際マチの幅が変わるだけで、文庫本が1冊、またはポーチがひとつゆったり入れられるので、実用面でも結構便利。
落ち着いたアースカラーで使い易そうではあるけれど、私のバッグとしては何か物足りないんだよね…と眺めている時にひらめいたのが、チャーム。そう、ファスナーの引き手を兼ねた、全体のアクセサリーにもなるようなチャームを作ろう、と思った瞬間、思い出した!
年末にビーズを仕入れに行った時に、その色に惹かれて特に目的もないまま買っておいたビーズ、あれがいい、と紙袋をごそごそ。予想通り、乾いた色合いの布にマットな色のビーズが軽快さを添えてくれました。計4個あるチャームは、楽しく全部に付けてもいいし、2か所くらいにしておいて、残りは他のものに付けてもよし。“as you like”ということで。