この色を見て、ピンときた方はいらっしゃいますか。
そう、このブルーが今年の2月の骨董フェアーで手にいれた、100年前のハンガリーのインディゴ・リネンなんです。
何度も水をくぐらせることによって生まれる風合いと自然なグラデーション、時間が創り上げた芸術です。
これだけの素材に一体何を組み合わせたらいいのか、すぐには想像すらできませんでした。
しかしある日、別の用事で訪れた皮革を扱うお店で、一枚の革に私は吸い寄せられました。
小花のエンボス、こんなのあるんだ…値段のタグのところに『あと少し在庫あります』の文字を見つけ決心してお店の方に声をかけました。
生地と見まがうような滑らかで薄い革は、羊の革で全部で約2頭分。
「いろんな色があったんですけど、今はこれだけで…」という申し訳なさそうな店員さんに「いえ、この色がいいんです」と言って羊2頭分頂いて帰りました。
それから展示会の作品を作る傍ら、次回のマンスリーキットはこれにしたいと決めていたので、頭の片隅でデザインの推敲を重ねること2か月。
生地はたっぷり、贅沢に使いたい、となるとギャザーかな。もちろん合わせるのはヴィンテージのビーズ。
でも大きいバッグだとパーツも少し大きめにしないと目立たないだろうし。
問題は形よね、やっぱり今だと横長かな、でも、できれば、雑誌やファイルが入る深さがあるともっと便利なんだけど。
ギャサーで、横長で、雑誌の入る深さ。。。新たに型紙を起こすしかないでしょう。
そして今回生まれたのがこのデザイン。中心に向かって底が深くなっているので、中に入れるものによってバッグのフォルムが変化します。
敢えてコントラストを強くして全体をぎゅっと引き締めるために、墨黒を所々に取り入れました。
そしてポイントはやはり蓋布です。真鍮のチェーンを真ん中に据え、それを取り囲むように、メタリックな色調のビンテージ装飾パーツやビーズ、貝ボタンを散りばめました。
どちらかというと荷物の少ない私には旅行バッグしても十分通用します。
今回の帰省時の手荷物もここに詰め込めば、容量的にも、見た目も、もう怖いものなし!
あっ、ひとつだけありました。新作を目ざとく見つける母の眼差し。
※インディゴ・リネンは古いハンメイドのため、若干の染めむらと色褪せのある個所がありますことをご了承下さい。
※本体と持ち手金具に使用してる羊革は比較的柔らかく、家庭用ミシンでも縫製できます。