仕事柄、電車の中、街の中、人々のバッグが気になります。観察しながらふと、気付いたのですが、最近ポケットが外側についたデザインが多くなってきていませんか。それもタックやマチの入った立体的なポケット。これは携帯電話が必需品のようになったことと関係がありそうです。
私自身、これまでポケットは内側、それもあまり目立たないように、という感じで付けてきたのですが実際のところ、特に手袋をする季節はポケットが内側だと、まどろこしさを感じることがあります。
出し入れ回数の多いものは、すぐに取り出せるよう外側のポケットに入れたい、というのは考えてみれば当たり前のこと。そんな人々の思いが反映されたバッグを見ながら、生活の変化がこれほどデザインに影響を与えるアイテムも少ないのではと思い、ますます興味は尽きません。
今回はサブバッグとしても利用できることを念頭においてデザインを考え始めたので、主役となる素材はほかのものと組み合わせやすい色合いのものにしたいと思い、バッグ前面の帯地を選びました。
ただ、この帯、色が淡いだけに締めていた時の折り目がわりと強く残っていて、ちょと気になったので一度は使うことを諦めました。でも、やはり心の奥では諦めきれておらず、その後も何度か手にとって、何かいいアイデアはないものか試案した結果、いっそこの上にビーズを並べて光らせてしまおう、という結論に達しました。
ビーズがコンシーラのような役目を果たして、帯のくすみを隠してくれると思ったのです。
後ろ面は細かい千鳥格子に黄色のボーダーが入ったモダンなウールの着物地、そこに時流にならって立体的なポケットを付けてみたのですが、いかがでしょうか。
バッグの内側にも鍵などを入れる小さなポケットがついています。
開き口は安全性と形の安定を考えてファスナーを付けました。この、開き口より長いファスナーは使う時に便利なだけでなく、縫い付けるときも楽!ということを今回発見しました。
今はどちらかというと、横長のバッグが主流のようです。だからこそ、お気に入りを探すのが難しい縦長バッグに今年は挑戦してみませんか。