2)日本モデルカーレーシングの歩みを少々 ところで、日本におけるモデルカーレーシングの創成期を少しだけ振り返ってみよう。 1964年頃になるとわずかづつであるが、アメリカで大流行しているモデルカーレーシングの情報が日本に入り始め、日本におけるモデルカー同好会のパイオニア的クラブであった土方健一氏らが創設したMRC (ミニチュア・レーシングカー・クラブ)が独自の規約を作り、レースを仲間内でレースを始めていた。 そして、レベルなどが輸入され始めると、MRCを母体として「日本モデルカーレーシング連盟」を発足させるのだが、その辺のところをもう少し詳しく書かれている資料を基に紹介したいと思う。 先に紹介した「日本の模型」で戦後の低迷する日本模型界の救世主?!となるかと各模型メーカーが参入した「モデルカーレーシング」であったが、ブームのきっかけはどのような経緯だったのかが詳しく書かれている資料本をやはりT.I氏よりお借りしているので「日本の模型」と同じように紹介したいと思う。 著者は、日本モデルカーレーシング連盟の初代会長の土方健一氏である。 秋田書店 発行「モデルカーレーシング入門」の著者としても有名である。 *池田書店 発行 「レーシングカー」 著者 土方健一昭和42年4月30日発行 |
![]() 「レーシングカー」 著者 土方健一 GO TO "Racing Car"by K.Hijikata |
土方健一氏著作「レーシングカー」は、秋田書店「モデルカーレーシング入門」と比べて、モデルカー同好会のパイオニア的クラブであった土方健一氏らが創設したMRC (ミニチュア・レーシングカー・クラブ)のことが良くわかる内容でとても参考になった。されに、レベル社の日本へのアプローチの仕方なども面白かった。 あと、今井科学のフォーミュラカープラモデルは、そんな昔から存在し、大いにモデルカーレーシングの発展に貢献していたことも分かった。 このプラモデルをスロットカー仕様にしたものをレストア記事にしたMSLリターンズのレギュラーメンバーの1人である“TOMおじさん”のIMAI SLOT RACINGのページが今になって俄然価値が出てくるというものである。 「日本の模型」、そして、「レーシングカー」などに書かれているように1965年における子供用(主に男の子)のヒット商品は、「モデルカーレーシング」だったと言っても過言ではないと思う。特に、1965年の年末商戦において、モデルカーレーシング」の「ホームサーキット」セットは大ヒットし、特にニチモ(日本模型)などはこれまでにないくらいの売り上げだった聞く。 そんなモデルカーレーシング人気に便乗しようと思ったのかどうかは定かでないが、下記のイベントなどはその良い例ではないかと想像する。 「ニッサン・シルビア(初代)&フェアレディモデルカーレーシング大会開催」 シルビアとフェアレディを題材としたモデルカーレーシングイベントが開催されたことをご存じだろうか。 1965年6月号と8月号の「模型とラジオ」誌にバルサ材を使ったこの2台のボディ製作記事は、実は、このイベントのために企画されたページだったのだ。 |
![]() バルサ材で作る「ニッサン・シルビア」 GO TO Nissan Silvia ![]() バルサ材で作る「ニッサン・フェアレディ」 GO TO Nissan Fairlady |
このイベントは、日産自動車が主催し、モデルカーレーシング連盟が後援、科学教材社、三共模型、コグレ、ゴーセン、そして、東京科学(マブチモーター)の協賛で行われ、会場は、日本橋三越 本店 7階会場を使い、1965年11月9日から14日までの6日間で行われた当時としてはかなり大きなイベントだったと思われる。 そして、6日間の間、会場内特設のサーキットにはシルビアとフェアレディのモデルカーレーシング(三共製とコグレ製)のレンタカーを常備し、一般客に解放される一方、コンクール・ド・デレガンスやチーム対抗レース、そして、芸能人を招いて特別レースなども開催されたと記載されている。 また、デレガンスとレースについても、ボディを自作したクラスと、市販キットを改造したクラスに分けられて行われた。 市販車ベースのレースには、オール関東モデルカー・レーシング選手権などで優勝したチームなども参加しており、かなり高いレベルのレースを展開したようであった。 しかし、それ以後このようなモデルカーレーシングが主役で、自動車メーカーが主催したイベントは行われておらず(当方の記憶では・・・)最初で最後のイベントだったのではと想像する。 しかしながら、このイベントは、もしかしたら三越が当時のモデルカーレーシング商品の売り上げがおもちゃ全体の売り上げでトップクラスだったため、年末商戦の売り上げアップのために仕組んだイベントだったのかもしれない。日時がまさにお歳暮シーズンだったことからもその可能性がうかがえるがどうだろうか。 また、三越は、木馬座の人気に便乗して、同じく7階会場で木馬座のイベントを開いたことがある。ケロヨン君などのキャラクター商品は、当時、相当の人気だったと思われる。 さらに、人気者の“ケロヨン”君を外車オープンスポーツカーに載せて三越周辺をパレードしていたというから、その可能性もまんざら嘘ではないかと思うのだが・・・。 余談だが、その時のケロヨン君のぬいぐるみに入っていたアルバイターは、なんと私の知人だったと後で知ることになるのだが。 |
![]() 「シルビア」&「フェアレディ」イベント結果へ行く GO TO Nissan Silvia & Nissan Fairlady Event |
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