埼玉県のごみ処理対策は、巨視的には、ゼロエミッション構想に基づいて進められる事は歓迎したい。
しかし、現在稼働している小型の焼却炉を広域化の構想に基づいて100t/1日〜300t/1日に改善する方向性は規模が小さすぎて効率が悪くダイオキシン対策にも得策とは考えられない。
そこで、私たちの提案としてはそこからもう一歩踏み込んだ見地で、つまり埼玉県を3ブロックに分けてもっと効率的で経済的なごみ処理発電システムを構築していただきたいということだ。
その際、ゼロエミッション構想と包装容器リサイクル法の完成度との兼ね合いから、3ブロックの内の一つにSEMASSプロジェクト(1800t/1日)を導入することが賢明と考えられる。
- 埼玉県のごみ(一般廃棄物)
- 埼玉県のごみは、平成8年度において2,307,401tであった。
その内の1,870,294t(82%)が焼却され、338,333tの焼却灰(15%)は、最終処分として県内、県外で埋め立てられた。
- ごみの減量化
- 今後、包装容器リサイクル法が完全実行されたとすると、ごみの60%が減量化されると言われている。
各自治体、市民団体の活発なリサイクル活動による10%程度のリサイクルの結果を加味した70%のごみが焼却されずにリサイクルされる予定である。
焼却にまわされるごみは、全体の30%である。しかし、これらの数字は実現できるものなのであろうか。
又、実行される時間はどのくらいかかるのであろうか。
- それでもごみは残る
- 残りの30%を数字に置き換えてみる。
2,307,401t×30%=692,220t/1年 692,220t÷365=1896,4t/1日
それでも埼玉県において、1日 1,896tのごみを発生させる事となる。
冒頭でSEMASSプロジェクトの導入は一基と提案したのはこの数字を考えてのことである。
- 焼却施設の未来
- 埼玉県の焼却施設は、67ヵ所あり合計した能力は、9,805t/1日である。
それらは老朽化した施設も数多く、しかも現在にあっては根本的な再整備計画を必要としている。
- 焼却施設67ヵ所の内300t/1日・24H稼働の焼却炉は9ヶ所のみであり、小規模焼却炉での焼却は2002年を目途とした厚生省・環境庁のダイオキシン対策による厳しい規制をクリアーしないと考えられる。
- 埼玉県の焼却施設67ヵ所のシステムの焼却灰は、ごみ全体量の15%に減量化されたものだが最終処分場の枯渇状況に対応したシステムとは考えられない。
今後ごみの発生が少なくなったとしても15%の減量化では問題の解決にはほど遠い。
更にそれらの施設から排出された焼却灰に含まれるダイオキシンの濃度についても不安と心配が付きまとう。
- 埼玉県では、ダイオキシン対策としてRDFシステムの導入計画を進めている様ではあるが、このシステムは焼却灰の減量化には役には立たずましてそのプラント費用は焼却炉以外に必要なためコストが高くつく。
運搬、保管に関してのみ効果が期待できるものの、今後のごみ減量化への時代に適したものかどうか再考の余地があると思われる。
- 結論
以上の事実を上げただけでも、今後の埼玉県の焼却施設は根本的な再整備計画が必要となり、その方向性はごみの減量化と安全性を考えて小規模炉の廃止、徹底した広域化によるごみ処理発電システムの導入が賢明と考えられる。
更に、後ほどふれることになるが、ごみ処理事業は民営化の方向に向かうことが合理性、安全性を追求する事になるとも考えられる。
現在と未来が要求している安全性と経済性の基準値は、国の枠を越え、国際化された基準値"グローバルスタンダード"に向かおうとする意志の現れであり,、その要求に答えられるのは合理性を貫徹する民営化のシステムであり
その先駆けともなりうるのがこのSEMASSプロジェクトの輸入でもある。
同時にその姿勢を示すことにより産廃処理の根本的対策にもなりうるであろう。
- ごみ処理費用について
- 現在埼玉県では、ごみ処理費用として 15000円/県民1人 44000円/1tの費用をかけている。市町村決算額の5.5%であるという。
これでは家計のやりくりに一層の神経を配って生活している県民にとっては放っておけない問題だ。
何故なら、私たちはすでに現システムより安全で、費用の少なくてすむSEMASSの存在を知っているからである。
- 産業廃棄物とゼロエミッション構想
- 埼玉県の産業廃棄物対策は深刻である。
所沢におけるダイオキシン汚染報道に、集約されていると思われる。私なりに要約すると次のようになる。
埼玉県の総合的規制基準が甘く、廃棄物処理・環境にたいする計画性にかけること。
それにより埼玉県所沢市に過度な産廃処理業者が集中し、当然予知できたはずのダイオキシン汚染も多量な東京都の産廃処理の役回りも引き受ける結果となった。
環境は更に悪くなる一方である。一刻も早い対応に迫られている。これが現在の姿だ。
しかし未来はどうだろうか。
未来は、構想通りいけばゼロエミッション構想が実現されているはずだ。
そしてゼロエミッション構想の観点からすれば、ダイオキシンは克服されいるし他の化学物質の汚染にも対応しているはずだ。
更に、多量な産廃は現在の迷惑ものから絶好の資源に様変わりしているであろう。 が、ここで欠くことのできない事はそのような未来を実現する為の時間と実現に向ける意志と、ゼロエミッション構想を実現させるには大規模ごみ処理発電施設である。
一極集中型のごみ処理発電システム(SEMASS)による徹底したリサイクルとエネルギー政策によってごみは目標通りゼロとなるはずだし又、そのゼロエミッション構想を実現する主体は、地方自治体ではなく民間の起業家達の知恵と力の結集となるはずである。
*ゼロエミッション ある産業から出た廃棄物を別の産業の原料とすることにより、汚染物質をなくし廃棄物をゼロにしようという考え方。
- ごみ処理発電埼玉西部プロジェクト
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- ごみ処理広域化ブロック埼玉県を仮に、東部(含 中央)・西部・北部の三つのブロックに分けてシュミレーションしてみよう。
まず、その内の西部を以下の15市8町3村をもって構成してみる。
所沢市、川越市、新座市、和光市、朝霞市、志木市、富士見市、上福岡市、入間市、狭山市、坂戸市、鶴ヶ島市、日高市、飯能市、東松山市
三芳町、大井町、毛呂山町、越生町、鳩山町、滑川町、嵐山町、小川町 玉川村、都幾川村、東秩父村
<地図参照>
そのごみの総量は、542,717トン/年であり、単純に1日に換算すると542,717÷365=1486.89tである。
このデーターは現在の一般廃棄物の数字であることに注意されたい。
そしてこの数字も将来は徹底的なリサイクルによる燃焼にまわされるされるごみの減少に伴って少なくなっていくものと思われる。
私たちは、埼玉県に1800トン/1日のごみ処理発電システムを、この西部ブロックに導入する計画であるがそのプロジェクトは一基だけでも一般廃棄物処理は勿論のこと更に所沢に持ち込まれる産廃をもカバーできるはずである。
私たちの、この西部ブロックに導入しようとするプロジェクトは、東部、北部、産廃のバランスをも見ながら稼働する事になるであろうが最終的には西部ブロック一つだけでまかなえる焼却施設となるかもしれない。
この計画のポイントは、現在行われているような一般廃棄物と産廃との区別された処理の方法を取らずこの民営化されたごみ処理発電施設においては、徹底的にリサイクルされた後のごみを燃料として取り扱われるという事である。
つまり、現行のごみ処理システムを下敷きにした計画ではなく、新たな、未来を見据えた発想に立つことによってゼロエミッションを成立させようとする考えである。
この計画が採用されその規模が広域化すればするほど将来のゼロエミッション構想はその経済性或いは安定性を増していくことだろう。
- 西部ブロックの焼却施設について
現在、埼玉西部ブロックの焼却施設は確認できるものだけで22基ある。
それらのうち半分にあたる11基は20年前に建設されたものであり、その内訳は全連続燃焼式が7基、准連続燃焼式が9基機械化バッチ燃焼式が6基である。
そして、規模を基準に分類すると、300t/1日が1基、180t/1日が3基、100t/1日までが7基、100t/1日以下が11基となる。
処理能力の数字のみだと確かに現在の一日に出るごみをその日のうちに処理できる計算にはなるが、燃焼温度の低い旧態依然としたこれらの施設ではとても21世紀へ向けての環境基準には対処できるはずもない。
このようなことからも、現在稼働中の施設の少なくとも半分は早急な再整備改造を迫られるはずである。
現在、県の要請により各地において広域化の構想を基にした再整備改造計画が展開されはじめてはいるが、それらの規模は皆小さく遠慮がちである。
多分それらはごみ処理という問題を、ただ処分するとしかとらえていないことに起因するのであろうが
こういった視野のせまい発想から出た計画ではとても次々と表面化する環境問題には対処できるはずがない。
そういった無意味なシステムの構築に、現在一体どれだけの予算が計上されているのであろうか。
安価で効率の良いプロジェクトを提唱する私たちとしては気になるところではある。
私たちのプロジェクトは、西部ブロックの焼却施設の焼却活動を全部停止し、その役割を1800t/1日の焼却施設のストックヤード収集基地とし、更にゼロエミッション構想に関連する事業基地として活用する計画でいる。
そうなれば、各施設と、既存の車輌、労働力は新たな契約と役割を担うこととなるだろう。
- 西部ブロックの新規焼却施設の所在地
候補地の選別は、諸条件を考慮に入れて慎重になされなければいけないことではあるが、現時点での候補地はとりあえず川越市西清掃センターを再整備して設置する案が有力である。
そのもっとも大きな理由としては、このような施設の立地条件としての、25市町村のほぼ中心地に立地が望ましいこと、交通の利便さ等からである。
計画を進めていくにあたって、これからも更に様々な立地条件が浮かび上がってくることであろうし
変更を余儀なくされることも十分に考えられる。
この件は時間をかけてじっくりあらゆる角度から検討して決定する必要があるだろう。
- 広域ブロックにおいての運搬
この件は、新規焼却処理施設より、10キロ圏、15キロ圏、20キロ圏、25キロ圏、等による運搬方法と交通体系・環境との
関係を総合的に捉えて判断する必要がある。
例えば、『15キロ圏内におけるごみは以前と同じ収集方法により新規焼却処理施設へ直接搬入し、それ以外は焼却中止となったそれぞれの施設に持ち帰り圧縮固形加工したものを大型トラックにて深夜の運搬搬入とする。』
『大型トラックの帰り便においては、新規焼却施設における第二次リサイクルによる原料とリサイクル品が送り返される事となる』
といったようなことであるが、それら一連の総合ゼロエミッション計画についても、なおも細部にわたり研究の必要を感じる。
- 行政と地方自治体と民営化と事業主体
事業主体
株式会社 |
彩の国・ゼロエミッション・ごみ処理発電プロジェクト |
出資者 |
大手企業・中小起企業・個人出資者・各団体・各金融機関 |
資本金 |
25億円〜 |
候補地 |
埼玉県川越市西清掃センター跡地 |
借入先 |
埼玉県西部ブロック25市町村
あさひ銀行・埼玉県各金融機関・大手銀行
埼玉県 |
補助 |
厚生省(エコタウン ソフト・ハード 補助金)
通産省(環境調和型エネルギーコミュニテイ事業補助金)
埼玉県 |
総事業費 |
250億円以上 |
民営・私企業の事業といえ、その規模と事業の公共性により、地方自治体との綿密な関係を基盤にしなければ成立しない。
又発展もない。
- 彩の国・ゼロエミッション・ごみ処理発電プロジェクト準備委員会の設立
以上が、現在の段階まででまとまりつつある構想ですが、これをたたき台として速やかに次のステップとして、実行段階としての
準備委員会の設立にむかいたいと考えております。

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