生涯のうちに1度はうつ病にかかる人の割合は、5~10人に1人であると言われています。「うつ病は心の風邪」という言葉もありますが、風邪と比べると、うつ病は長い治療期間が必要となります。重くなると、仕事や学業など、社会生活に与える影響も比べものにならないくらい大きくなります。
さらに適切な治療を行わないと、10人に1人は自殺してしまう、という統計値もあります。「うつ病は心の風邪」とは言っても、適切な治療がもっとも必要な病気の1つだと考えるべきでしょう。
以下に症状と経過および治療について述べます。
症状と経過
1.体がだるい、疲れがとれない、気分が落ち着かない、といった心身の不調を感じる。
2.食欲がない、楽しさが感じられない、眠れない、焦りなどが出てきて、仕事や家事が捗らなくなる。
3.自分を責める、目に見えて体重が減ってくる、朝起きるのがつらい、便秘がちになる。
4.朝起きられず、いつものように登校や出勤ができない。
5.「甘えているからだ、自分はなまけものだ」とさらに自責の念が強くなる。
6.生活していることがつらくなり、強い焦燥感が現れる。
7.「まわりの人に迷惑をかけている、自分などいなくなった方がいい」と感じる。
8.「こんなに苦しいなら、死んだ方がまし」と思う。
1~3の状態は軽症、短期日で回復します。4~6は中等症で、自宅療養が必要になる場合があります。7~8は重症で、場合によっては入院加療を要します。
治療
1.少しでも早く医療機関に相談してください。うつ病は適切な治療を早期に受けることが肝要です。
2.服薬と精神療法が治療の要です。お薬の効果が得られるのに2~4週間かかります。
3.順調に良くなれば3ヶ月程で寛解しますが,寛解後も6ヶ月~1年以上の再燃予防のための継続治療をします.ただし、ストレス負荷が続いている状態の場合,時間がかかることもあります。
4.治療をやめる時は、医師と相談して今後の方針を決めることが再燃・再発の予防になります。
5.急性の症状が落ち着いたら、認知行動療法などを試みることも有用です。
もとやま心のクリニック
本山 俊一郎