過換気症候群は急にあるいは徐々に息苦しさを感じ、呼吸が出来ない様な不安にかられて、さらに過度な呼吸となり、動悸やめまい、手足や口元のしびれ等の症状が生じます。
胸痛や頭痛を伴うこともあり、このままでは死ぬのではないかというような不安と恐怖で救急車を呼ぶ人も多く、夜間の救急外来でも割と多い疾患です。比較的若い女性に多いとされていますが、男性や高齢者などにもみられます。
不安になりやすい性格の人に生じやすいようですが、心理的なストレスや運動(マラソンなど)で誘発されて起きたり、パニック障害の一症状としてみられる場合もあります。
 
頻回の呼吸で呼気中に二酸化炭素が多く排出され、血液中の二酸化炭素が少なくなり、さらに症状の悪化を招いて失神や痙攣(けいれん)、脱力などがみられる事もあります。
 
診断は前述の特徴的な症状に加えて、動脈血検査や心電図、胸部レントゲン等の検査でなされます。まれに狭心症、気胸、気管支喘息、脳腫瘍、脳炎、日射病などとの鑑別が必要で、さらなる検査が必要な場合もあります。
 
治療は、気分を落ち着かせ過剰となっている呼吸のバランスを整えます。このことで血液中の二酸化炭素が増えて自然と軽快することが多く、通常は入院の必要はありません。発作を繰り返す方のなかに注射や内服薬、カウンセリング等が必要な方もいらっしゃいますので、心療内科や精神科、呼吸器科あるいは、かかりつけ医等で御相談される事をお勧めします。
 
予防として、ストレスが溜らない様に自分なりのストレス解消法を身につけたり、心理的ストレス(人間関係など)や不安を出来るだけとり除いたり、それらを上手に調整する事も大切です。


田中医院
田中 純智男