下腹部が痛くなったとき、多いのはやはり腸の動きに伴う痛み(蠕動痛)であろうと思います。
したがって様子を見ていたら便が出てよくなってしまったと言う様な事もあるかも知れません。
このような場合を除いて、なにか病気の最初の手懸りである場合もありますので、医師の診察を受けられることをおすすめいたします。と申しますのは下腹部痛は下の表に示しますように、非常にたくさんの病気でおこります。
もちろん此処に書けなかったものも多くあります。それらの病気の最初の手懸りであるのかもしれません。

■男女とも共通に起こる病気
【内科的な病気】
急性腸炎
感染性…ノロウイルス、ロタウイルス、細菌性(サルモネラ、赤痢菌 O157大腸菌など)など。
非感染性…虚血性腸炎など

慢性腸炎
感染性…腸結核など
非感染性…クローン病 潰瘍性大腸炎など

【外科的な病気】
虫垂炎 腸閉塞 ヘルニア陥屯 腹部大動脈瘤破裂(解離) 腸間膜動脈、静脈の塞栓、血栓、腸重積症 腸管その他の悪性腫瘍など

【泌尿器、腎臓関係の病気】
腎結石 尿管結石 急性腎盂炎 急性膀胱炎など

【産科 婦人科関係の病気】
排卵痛 子宮外妊娠 卵巣茎捻転 卵巣嚢胞破裂 月経困難症 卵管炎など

医師は年齢 性別 痛みの場所 痛み方などの問診でかなり病気を絞りつつも、そればかりにこだわらず診察しなければなりません。
したがって症状は出来るだけ詳しく、また心当たりがあればそれも遠慮なく伝えていただければありがたいと思います。
 
どこの科を受診すればよいか解らないと患者さんからよくいわれます。
小児の場合は小児科に相談されるのが最初と思います。下腹部痛は色々の科にまたがっていますので断定的に申し上げるのは難しいのですが、参考になることをいくつか書いて見ましょう。
 
虫垂炎はみぞおちや右下腹部の痛みから起こることが多いようです。左下腹部痛で来院される人も時にはいます。必ずしも手術になりませんが、出来れば手術可能な施設で経過を見ていただくのがよいでしょう。腸炎では下痢を伴うことが多いのも特徴です。
 
尿管結石は右または左の腰から下腹部にかけてかなり強い痛みが来ることが多く、腹部大動脈破裂の時も似たような痛みが来ることがあります。
 
女性で排尿痛と軽い下腹部痛が有るような場合は膀胱炎がまず考えられます。又女性は産科婦人科的な病気も多く、女性に限らずすべてで言えることですがまずかかりつけ医に相談されることをお勧めいたします。

大福地外科胃腸科医院
大福地 千之助