腎臓の役割はいろいろありますが、その中心的な機能は、体内で一日およそ200リットルもの血液をろ過し、不要な成分や有害物質を体外に尿として排出することにあります。腎臓病は、その腎臓の機能が低下し、老廃物や余分な物質・水分が外に排出できなくなる病気です。

「慢性腎臓病」とは数年前まではあまり聞かない病名でしたが、実は1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。この慢性腎臓病の患者さんは、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が続く状態を指します。

長い期間にわたり腎障害が続くと、腎臓の働きが低下して腎不全(透析)をまねく危険性が高まると同時に心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患も起こしやすくなります。

しかし、この慢性腎臓病の初期には、ほとんど自覚症状がありません。貧血、疲労感、むくみなどの症状が現れたときには、病気がかなり進行している可能性もありますので、定期的に尿検査や血液検査(健康診断)を受ける事が大切です。健康診断などで測定した血清クレアチニン値を参考に、自分の腎機能はどのくらいかを計算することができますので、もし、慢性腎臓病と分かったら、医療機関を受診してきちんと治療をしておくことも必要となります。

また、生活習慣の改善も大変重要です。肥満の是正や減塩を心がけ、規則正しい食事、腎機能が低下した場合には低たんぱく食を摂りましょう。たばこを吸っている人は禁煙に努めてください。