皮膚がんにも、いろいろな種類があり、出来やすい部位も様々です。
一般に長年に亘って「イボ」があり、少しずつ大きくなり、出血しやすく、盛り上がってくると、がんが疑われます。自覚症としての痒みは、例外的に「日光角化症」と「パジット氏病」では認められますが、他のがんでは痒みはありません。
 
ここでは、一般的に頻度の多い皮膚がんを部位別に見てみましょう。

(1)まず顔面です。高齢者の顔の中央(眼、鼻、口の周囲)に黒っぽいイボが出来、少しずつ大きくなって来たら、「基底細胞がん」が疑われます。又、額や頬に表面ザラザラとし少し痒みのある赤い斑があれば、「日光角化症(初期がん)」を疑います。

(2)次に四肢(ウデとアシ)です。丸く硬く黒褐色のイボをみたら、「汗孔がん」を疑います。手足の場合、最も怖いのが「メラノーマ(ホクロのがん)」です。特に手掌(てのひら)、足蹠(あしのうら)に7mm幅以上の黒褐色斑があるときや、手足の爪の下に3mm幅以上の黒褐色斑があり、更に色むら、にじみ、形の不整などが加われば、強く「メラノーマ」を疑います。
又、薄汚れた褐色のかさぶたを付けた斑が四肢に出来たら、「ボーエン氏病(表皮内癌)」を疑います。

(3)腋窩や陰股部で、痒みのある赤いびらんがあって外用剤無効の場合、乳癌の親類の「パジット氏病(汗腺のがん)」が疑われます。

(4)部位に無関係に、子供の時のひどいヤケドやケガで長く難治のものから、「有 棘細胞がん」が出来ることがあります。盛り上がったり、逆に潰瘍であったりして、すぐ出血し、いつもじくじくしているものは要注意です。

以上、代表的な皮膚がんについて、一般論を述べましたが、例外も多いので、もし変なイボがあったら、がん専門医をご相談下さい。


前島皮膚科医院
前島 和樹