タバコが健康に悪いのはわかっているし、家族からも禁煙を勧められている。吸える場所も年々減っていき肩身が狭い・・・。それなのに禁煙できないのはなぜ?現在では、禁煙できないのはニコチン依存症である事がわかっています。

タバコを吸った時にイライラや落ち着かない感じがスーと治まっていく感覚を喫煙者なら誰でも味わったことがあるはずです。ストレスの多い社会で生活するには、イライラを解消できるタバコは欠かせないと考える人も多いでしょう。

しかし、イライラは仕事や家庭などの社会生活だけが原因ではないのです。タバコを吸い終わって1時間もしないうちに血液中のニコチンが減りイライラや落ち着かないなどのニコチン切れ症状(禁断症状)が現われます。

ストレスが原因と思っているイライラの正体は、ニコチン切れ症状である可能性が高いのです。喫煙という行為は喫煙自体が原因で生じたイライラを次の1本を吸うことで解消しているだけです。

いつでもやめられると思って吸い始めたのにいつの間にかタバコと離れなくなってしまうのはなぜでしょう?
禁煙に挑戦しても、つい吸ってしまうのはなぜでしょう?
これはタバコの煙に含まれるニコチンが麻酔にも劣らない強い依存症をもつからです。

タバコを吸うとニコチンが数秒で脳に達し、快感を生じさせる物質(ドパミン)を放出させます。喫煙者は快感を味わい、又もう一度タバコを吸いたいという欲求が生じます。この悪循環がニコチン依存症です。

<別表>はニコチン依存症かどうかを判定するテストです。合計が5点以上ならばニコチン依存症とされます。

低タールや低ニコチンと表記された「軽いタバコ」のフィルター側面には空気穴が多く開いていて、煙が薄まるようになっています。
しかし、実際に吸う時には唇で塞がってしまう他、軽いタバコは深く吸う・根元まで吸う・本数を増やすなどして調整してしまうため体内に入るニコチンや有害物質の量は変りません。健康のためにタバコの本数を減らす減煙から始める方は多いようですが、健康上のメリットは期待できません。

また、タバコから余計に離れにくくなってしまいます。スパっと吸うのをやめることが禁煙への近道です。

タバコが身体に悪いことを知らずに吸っている人はほとんどいないでしょう。では、具体的にはどんな病気と関係しているのでしょうか。

タバコを吸っているとCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を主とする呼吸器病や動脈硬化が原因の心臓の病気、脳卒中、喉頭ガンや、膀胱がんなど多くの部位におけるガンのリスクとなります。また、あまり知られていませんが、糖尿病やメタボリックシンドローム、胃潰瘍、不妊などのリスクが高くなります。

長年吸った人でも禁煙すると短時間のうちに効果が出ます。肺の機能は2週~3ケ月で回復し、咳や息切れも1~9ケ月で改善されます。禁煙に遅すぎることはありません。

西田医院
西田 一