梅雨も明け、いよいよ夏本番、海に山に海水浴やキャンプの季節です。この季節では「日焼け」に注意しましょう。
 
正常人の皮膚に大量(通常被服部では15分以上)の日光光線を浴びると、紅斑反応(サンバーン)と色素沈着反応(サンタン)が引き起こされます。これを広い意味で「日焼け」と言っていますが、狭い意味では320~290nm(ナノメータ)の中波長紫外線(UVB)の作用で生じるサンバーン反応を言います。
 
サンタン反応は、いわゆる「シミ」の発生を示しますが、第1次異化(メラニン生産細胞からのメラニン顆粒の圧出で、主に320~400nmの長波長紫外線=UVA=の作用による)と、第2次異化(メラニン顆粒の新生で、主にUVBの作用による)に分けることばできます。
 
以上は日光照射による正常人の急性反応ですが、慢性の傷害としては皮膚の老化の促進(皮膚の菲薄化、乾皮症、老人性色素斑、老人性白斑、しわ、弾力繊維の消失、黄白色化、毛細血管拡張、出血傾向など)と癌の発生(日光角化症、有棘細胞癌、基底細胞癌、悪性黒色種)が挙げられます。

日光による正常人の皮膚障害

急性(日焼け) ---- 日焼け皮膚炎(サンバーン)   <---- UBA
    |黒化(サンタン) ----| 第1次異化 <---- UVA
      ----| 第2次異化 <---- VB
慢性 ---- 「老化の促進 |悪性腫瘍(癌)の発生    

 

「日焼け」の予防

紫外線の多い午前10時から午後2時頃までの外出はできるだけ避けましょう。やむをえず外出する際はつば広の帽子、長袖の衣服、手袋、白傘の使用をお奨めします。
又、局所皮膚にサンククリーンクリーム(市販でUVA用、UVB用或いは日光照射時間に合わせたものなど種々の商品が入手できます)を上手に用いるのも効果的です。)

「日焼け」の治療

軽い紅斑だけの場合は放置してよく、紅斑に腫脹(ハレ)、灼熱感(ヤキヤキ、ピリピリ)がある場合は、冷水による湿布、外用剤(クリーム、軟膏よりもスプレーが、患部に触れなくて良い)を用います。重症(水疱形成)では、副腎皮質ホルモンの内服を行います。

「日焼け」は或る程度避けることができます。注意して快適な生活をお送り下さい。

前島皮膚科医院
前島 和樹