会話劇のおかしさで笑わせる
売込隊ビーム 横山 拓也
劇団「売込隊ビーム」は、クスッと笑えるシチュエーションコメディを得意としている。
座付き脚本家で、演出も担当する横山拓也さんは「ガバガバ笑ってほしいって気持ちはありますけど、客席をみてるとニヤニヤ、ニヤニヤが多いです」。
大阪芸大文芸学科の二回生だった九六年秋、同級生たちと始めた。高校からの友人で舞台芸術学科にいた山田かつろうさんから「劇団やりたいからホン(脚本)書いてよ」と話がきて「じゃ、やってみよかな」と。
メンバーは約一○人、うち役者が六人。みんな四年で卒業して、芸能プロダクションで活動範囲を広げたり、ショットバーを始めたり、アルバイトなどで暮らしながら芝居を続けてきた。
「ぼくは役者じゃないんで、勤めたんですけど、演劇にもっと力を入れたくなってやめました」。いまは九時から五時まで大阪市内の出版社で編集のアルバイトをし、劇団の稽古に一○時すぎまで、夜中の一二時ころから許す限りホンを書く。今年は外部からの依頼や他劇団との合同公演もあり、ハードな日々だ。
「ひとつの公演にかかわっているときは、なかなか次がみえません。でもパッと終わると、なんかスッと脳みそがあくんです。そしたらようやくぽ.と広がって。並行してするのは得意でないけど、意外とインスピレーションはなくならないです」
基本は一幕もの。暗転を使わないことに、自分を追い込んでいる。
「お笑いではなく、会話劇のおかしさを楽しんでもらいたい。ただ状況だけで笑わせるのでなく、少し考えることもできる芝居にしようと思っています」
売込隊ビームの公演パンフレットは毎回凝っている。「お芝居って残らないから、なるべく捨てられないものにしようと思って」。2003年2月公演『MM』のときは、一見MDケース風の卓上カレンダー。キャスト、スタッフ、公演前のドタバタ話などを読んだあと、裏返して実用的にも楽しめる。
次回公演は、二〇〇三年七月十八日(金).二十一日(月)梅田のHEPホールで。
タイトル「よせばいいのに」。
お問い合わせはビーム企画へ。電話06-6767-3567
http://www.urikomitai.com/
よこやま・たくや
1977年大阪府池田市生まれ。18歳のとき
はじめて小劇場を体感。
「劇団が認知されて、あの劇団の人やったら面白いやろうと役者がひっぱってもらえるようにしたい」