藍生ロゴ 藍生3月 選評と鑑賞  黒田杏子


家滅び森滅び雪降り積む

(北海道)五十嵐秀彦
 北海道の作家五十嵐秀彦さんの作品。お若い人というイメージが私の中にありますが、66歳。今や北海道を代表する俳人として、論作二つの分野で旺盛な仕事をすすめておられます。ことしは句集をまとめられるとの事、たのしみです。期待しています。



冬桜しづかにものを考へる

(東京都)城下 洋二
 77歳の城下さん。ここまでの境地に至られたのかと。しばらくお目にかかっておりませんが、いかにも城下さんらしい作品です。簡素にして気品がある。こういう作品は誰にでも詠めるものではありませんね。一行十七音字の世界は広やかなのだと知らされます。



末枯るゝ心の枯渇とは別に

(東京都)董 振 華
 中国人のこの作家は何とまだ50歳。四月号からシリーズ特集「藍生」国際部の作家たち。がスタートしますが、そのトップバッター。中国の悠久な歴史と文化を背負っておられる前途洋々たる方。特集を愉しみにどうぞ。「日経俳壇」でも活躍中です。


2月へ
4月へ
戻る戻る