藍生ロゴ 藍生4月 選評と鑑賞  黒田杏子


小春日や素敵な恋をしてみたい

(静岡県)伊藤 花枝
 たのしいですね。伊藤花枝さんは満齢百歳。投句用紙の年齢欄には「百」と一文字。堂々とした筆蹟で筆圧も十分。お目にかかった事はないのですが、何十年も欠詠なくご投句を続けてこられました。どうぞ、皆様、伊藤さんに学んで、いきいきと自在な句をお寄せ下さい。現時点では「藍生集」への投句者の中で最高齢。ますますのご健吟、たのしみに致しております。



鎌倉や墓前に小さき鏡餅

(東京都)遠藤由樹子
 その場の情景が見えてきますね。小さきとはいえ、切餅や普通の丸餅ではない。鏡餅というところ、さすが鎌倉と思います。地名の力を憶いますね。秀句であり名句です。



けふは巫女明日は少女黄水仙

(兵庫県)今井 豊
 いよいよこの三月で高校教師も終り。今井豊さんは自由の身になられます。明石市のご自宅を活用して、俳人としてたのしく自在な活動を開始されます。期待しております。「今のところ、市の老人大学で俳句の話をする(二回)位の予定が入っています」と二月半ばの電話の話。まだ六十歳なのですから、「子ども食堂」ならぬ「青少年句会」とか「誰でも楽しめる俳句会」とか、どんどん企画して俳人として愉しくたっぷり生きて頂きたいと思います。中学生の頃から句作に打ち込んでこられたキャリアを生かして、俳人今井豊としてじっくり、たっぷり生きて活動して頂きたいと期待しています。明石市はすばらしいところです。


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