藍生ロゴ 藍生4月 選評と鑑賞  黒田杏子


鴨たちに餌まく人と話しこみ

(愛知県)井上美保子
 食パンの耳などを手に入れて、定期的に鴨に餌として投げ与える人は各地に居られます。私もその現場に居合わせています。大体は年を重ねた男性。そのような人と井上さんはいろいろと話を聞いて、考えるところがあったのでしょう。その様子が眼に浮かびます。話しこみと止めたところ、いいですね。



虎落笛頭に馴染む枕得て

(愛知県)三島 広志
 枕は大切です。頭に馴染む枕得て。というところ、読み手もホッとします。三島さんは専門家としていろいろ試した上で、コレという枕を手にされたのでしょう。虎落笛の上五も巧い。作者の心と身体の状態がいろいろと暗示され、句の世界に引き込まれていきます。六十七歳の三島さん。虎落笛に耳をあずけて。誰にも分る句で、そして人生観、自然観というものに想いの至る作品だと思います。



ポインセチア髪をショートに戻しけり

(大阪府)名本 沙世
 いいですね。若々しく、いきいきとした名本さんの前向きな人生観が出ています。髪をショートに戻しけり。ちょっと長くしていたけれど、やっぱりショートで行こう。と決めた。ポインセチアがいいですね。


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