藍生ロゴ 藍生10月 選評と鑑賞  黒田杏子


負け犬を叱咤激励浜晩夏

(新潟県)斉藤 凡太

去る六月に『磯見漁師』斉藤凡太句集が角川書店より刊行され、新聞や雑誌にとりあげられて話題を呼んでいる作者。これまで投句は「新潟日報俳壇」黒田選句欄のみに絞ってこられた凡太さん、新発田大会参加を機に「藍生」にも投句を開始された。86歳の現役の漁師。この十月四日、101歳となられる日野原重明先生も凡太さんの生き方を讃え、「新老人」の模範としてこの句集を激賞ご推薦。さて、この句、若い漁師たちに伍して力をふり絞って働く凡太さんの心が投影されていると思われる。ぜひこの凡太句集を「藍生」会員の皆さんが残らず手にされ、それぞれに自己革新を果たされることを希っている。



三方へデモ流れ出る森真夏

(東京都)安達 潔
大きな集会であろう。三方へデモ流れ出る。ここにこの句の生命線と臨場感が示されている。現在、さまざまなデモが行なわれている。反原発のデモかも知れないし、それは分らない。しかし、二〇一一年三月十一日を境に、この国には変化が起きている。デモという言葉があらたによみがえってきた。この句は二〇一二年の市民のデモを表現している。



遠征の子らアカシアの花を踏み

(長崎県)森光 梅子
森光さんは77歳。現役のテニスプレイヤーである。この句の遠征はテニスの試合に出場のための遠出である。北海道まで出かけて行ったスポーツの旅。遠征の子らという上七に、若人たちを見守り、共に行動する作者の心と身体の躍動感があふれている。このような句友の存在に励まされる。


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