|  
       寒の星仰いでをれば寒くない (滋賀県)藤平 寂信  | 
  |
| この秋、寂信さんは満九十歳、卒寿を迎えられる。ちなみに寂聴先生は五月十五日に卒寿を迎えられる。「あんず句会」も二十八年目。おふたりの先達のお力によって、この句座はスタート。つつがなく継続。俳句作者がつぎつぎ誕生している。寂信さんの句境はいよいよ自在。人生の師として独自の世界を展開していることはすばらしい。淡海を眼下にする湖想庵での作である。 | |
|  
       大寒や海の匂ひの子を産みて (千葉県)菅野 馨子 
     | 
  |
| この鮮烈な一句とともに、若い作者が登場。「藍生」に自主参加された方で面識もない。しかし、必ず前進を続けられる女性と思う。投句作品を介してはじめて接することの出来た未知の作者に期待している。 | |
| 
      香りなき椿に言葉二三片 (栃木県)半田 真理 
     | |
| 椿は美しい。種るいはいろいろあって、それぞれに魅力的である。しかし、この花に香りはない。香りなき椿とまず言切って、一呼吸おいて、作者は言葉二三片と続けた。椿に言葉をかけたともとれるし、椿の言葉を聴きとめたと受けとることも出来る。いずれにしても、椿の句として斬新である。 | |
|  
       | 
  ||