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第二十一回 九月・愛知の藍生だより

写真・ 文:三島広志
介護の人々 Yさん 57歳 男 工務店経営 脳幹梗塞
  通常脳卒中では左右どちらかの半身の麻痺が生じる。しかし脳幹という中央で出血したYさんは両側に麻痺が出現した。しかも生命機能の中心部なのでことは重大。結局Yさんは四肢麻痺の上に意識が戻らず、呼吸もままならない状態である。喉に空けた穴から酸素が吸入され、食事は胃瘻(腹から直接胃に穴を開け、管を通して栄養液を注入する)。現在自宅で妻の介護を受けている。彼女は何の反応もない夫のわずかな変化を見ながらそれを励みに介護している。しかもその状況に愚痴一つこぼさずエステの会社を経営し二十数名の社員の生活も守っている。たいしたものである。ここでの介護力は経済力という余裕もあって現在とてもうまく機能している。一番下の小学四年の息子さんも時に手伝ってくれるのである。

五条川桜堤

 Yさん宅の近くを流れる五条川。その堤の桜は百選に選ばれている。

幹冥き秋の並木となりにけり  広志
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