第二十一回 九月・愛知の藍生だより
四肢の運動機能が消失していく進行性の病気だ。Iさんは夫と二人暮し。歩行器でかろうじて室内を移動している。そして家事をこなし、手芸で花や人形を作っている。明日の希望はない。淡々と今日を生きている。若者の明日は希望に溢れているが、高齢者の明日は不安に満ちている。それを見ないように暮すのがコツなのだろう。
Iさんの庭のアカシヤにいたスズメガの幼虫。