第二十一回 九月・愛知の藍生だより
|
介護の人々 |
振り返ると介護(訪問リハビリ)に係わって四半世紀になる。介護保険ができて四年半、その前の行政措置の時代、そしてその前の家族お任せ、行政放置の時代から細々と続けてきたことになる。
その間にはさまざまな出会いと別離があった。社会の片隅でゴミのように放擲されてひっそりと糞尿にまみれて亡くなった方。布団にこびりついた垢と鱗のように蓄積した皮膚の剥離物に埋もれるように息を引き取った方。これらは家族(多くは配偶者か娘)のみの介護力の限界の中でのことだ。家族が持てる最大の介護力で看取った結果がこうだったのだ。そして家族もぼろぼろに壊れる。 そもそも人生の末期を明るく過ごすなどということは可能なのだろうか。冥土への旅と言うならただ冥く暗澹たる思いが湧き上がるほかない。 現在わたしが係わっている方を何名か紹介しよう。もちろん守秘義務があるので名前は明かせない。 |
写真・文:(c)三島広志 |