aoilogo2002年7月 藍生 主宰句
粽解く
黒田杏子


しづかに坐る朝夕拝む雪解風
三十三体微笑合掌苗代寒
花過ぎの昔ばなしを三つ四つ
明易の鉈の一丁鑿の一丁
木ぼとけを童女の背負ふ余花の辻
裏山を藤咲きのぼる微笑佛
万緑や笑み崩れんと木の佛
月光の新樹に冷ゆるをみなたち
山藤のつぼみを揚げて蕎麦を碾き
太郎丸郵便局舎熊ん蜂
水打ってせんべいを焼く一家族
山藤の波月光のつめたしや
良寛堂弥生の月の満ちにけり
粽解くひんやりまとふジャワ更紗
八十の尼僧の五月十五日