はだれ雪なまこに水を送りけり 春愁の川徒渉れ父のごとく 数の子を干す虹色の日と風と 春蘭のひかり雪割草こぞり 村の木は楠大瑠璃は村の鳥 みちのくの雑草園の屋根に蝶 青邨生誕百十年余花の星 引鶴ののちの月夜をまぶしみぬ 寅彦のオルガンの鳴る黄沙かな お四国の土佐の社日の夕燕 いさざ焚く深井戸の水汲みあげよ 初蝶の銀閣寺よりきたりけり 啓蟄の雷聴く六林男先生と おへんろのわれ花の下草の上 円山のはなびらのくる大石忌