その時だった、なんとポールポジションのギヤ・デトマーが“ガクン”とストップ!
ドライバーのピーター・バロックが右手を上げて後続車に合図している。どうもスタートを焦り、エンストしたようだ。そして、予選2位のホードGTもタイヤが温まっていなかったのか、派手なホイールスピンを続け、大きく出遅れている。
さらに、予選3位のフェラーラのオンドロッティがギヤが入らないのか、ヨロヨロとスタートしていったため、行く手を遮られた後続集団はパニック状態に至り、右や左にステアリングを切りフロントの3台をかわしていく。
そして、第1コーナーをトップで走り抜けて行ったのは予選4位から飛び出したH.ヘルマンスのボーシェ904だった。
そのヘルマンスにピッタリとついているのは、プリンセスの生縄 徹だ。
生縄は、その後もスリップストリームを使いながら、ヘルマンスのボーシェを追いかける。その後をもう1台のボーシェとボビー・ボンデュラントのコーラ、石子のプリンセスが続く。
ホードGTのマクラーメンとオンドロッティのフェラーラは、中段集団の中にいて、1台また1台と抜き去っていく。
スタートでストップしたピーター・バロックのギヤ・デトマーは、やっとのことでエンジンがかかり、スタートしたところだ。トップとは、1分弱離れてしまった計算になる。
ところで、注目の浮山西次郎のローター40Bは、まあまあのスタートを切った後、南野 元のホンラS600Rのすぐ後について周回を重ねている。思ったよりもエンジン音は快調そうだ。

やがて3分が経とうという頃、トップ集団が最終コーナーにやってきた。そして、大歓声が上る!!
生縄だ!!鮮やかなイエローに黒のストライプの彼のプリンセスR380が外国勢を抑えてトップで帰って来たからだ。


TOP : 1周目トップで帰ってきた生縄 徹のプリンセスR380 

約2秒遅れて、ヘルマンスのボーシェ904、そして、スタートに失敗した予選2位のホードGTがフェラーラを引き連れて早くも3位に上ってホームストレッチに現れた。それから4〜5秒送れてボビー・ボンデュラントのデートナ・コーラ、石子のプリンセス、もう1台のボーシェが続く。されに、約5秒ほど遅れて九子田のローターレーシングエランと南野 元のホンラS600R、横橋国光のフアレディが団子状態でトップを追う。そのすぐ後に西次郎のローター40Bが迫っている。
さらに、10台ほどの集団が1周を終えて帰ってきた。しかし、どういうわけかプリンセスの2台(小石、縦山)が来ないのだ。
プリンセスのピットが騒がしくなってきた。約1分が過ぎた。するとフロントをボコボコにへこました小石の車がノロノロとピットに入ってきた。どうやら同チームの2台は、ヘアピン後で接触してしまったらしい。このアクシデントでプリンセスチームの作戦は大きく狂ってしまった。
生縄のリードは、長く続かなかった。3周目、2分30秒台で追い上げてきたホードGTにバックストレッチから150R高速コーナーで簡単に抜かれてしまったのだ。

TOP : 3周目、トップを走っていた生縄 徹は、マクラーメンのホードGTに抜かれてしまう。

その後、オンドロッティのフェラーラにも抜かれ生縄は3位に後退してしまう。
スタートで遅れたピーター・バロックは、ギヤ・デトマーの強大なトルクとエアロフォイル(可変リヤスポイラー)を使って今や10位まで順位を上げてきている。2分25秒5という最高ラップを記録しながらの追い上げだ。
3位の生縄は、今や後ろから追い上げてくるボーシェ2台とボビー・ボンデュラントのコーラを押さえるのがやっとの状態。
 レースは、すでに10周目に入っている。
観戦中の凡野少年とS君、そして、S君のお兄さんの3人は、これらのデッドヒートをしばし第1コーナーで観戦していたのだが、より間近で見たいという理由で、現在はヘアピンコーナーに移動中である。


TOP : スタートの躓きをカバーする素晴らしい走りを披露するピーター・バロックのギヤ・デトマー。


TOP : レース序盤、ボビー・ボンデュラントのデートナ・コーラに迫る九子田 寛のローターレーシングエラン。
後方に、横橋国光のフアレディと南野 元のホンラS600Rが見える。

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(C) Photographs, written by Hirofumi Makino.
Special thanks Dr.K.