真夏の祭典「第4回全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」!!
 
 かつて1つのチームが全種目完全制覇を成し遂げたことはなかったと思う。まずは、元祖モデル・スピードライフ誌で記載されたこのレースの感想をみてみよう。

 
 
 “レースウェイ・ムサシノ”は、A, B, Cの3チームを結成し今回の「第4回全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」に参加し、下の上位入賞車を見ていただければ分かる通り、完全優勝を成し遂げたのである。 そして、それらのシャーシは全て“ムサシノタイプシャーシ”のインラインタイプであった。
事前にレースウェイ・ムサシノにてテスト走行を入念に行い、どのサーキットでも最高のパフォーマンスを発揮できるという自信を得て今回の大会に臨んだと言われている。
 そして、常勝タミヤ製のシャーシやその他のサイドワインダーシャーシはこのムサシノタイプシャーシに太刀打ちできず惨敗した。
全てのクラスでインラインタイプのムサシノシャーシが上位独占したことにより、インラインの優位性も改めて認識することが出来た。

 もう1つ気がついたことは、オリジナルシャーシの性能差をなくすためなのか、ボディも同じ車種に統一している。フォーミュラクラスは、クライマックスの“ブラバム・フォード”、GTクラスは、タミヤの超軽量ハードボディの“ポルシェ・カレラ6”、そして、ストックカークラスには、長谷川の“ビュイック・ワイルドキャット”の3種類に統一していた。
 
 このレースウェイ・ムサシノの完全勝利は、1970〜71年にかけてマニファクチャラーズ選手権において、ポルシェが、JWオートモーティブ、ザルツブルク・チームなど数チームにワークス仕様ポルシェ917Kを提供し、フェラーリ512SVSポルシェ917の激突と言われたメーカー選手権をほぼ完全勝利した時の状態と似ていなくもない。
 

 さて、レースウェイ・ムサシノのオリジナルシャーシであるが、実は、翌年にAYKより発売される「フォーミュラカー用シャーシ」と、このムサシノタイプシャーシは深い関係があるのだが、それはのちほど。
 
 
 第4回全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース大会
1968年8月18日
東京 赤坂テアトルサーキット


 
 
  The 4th All Japan Modelcar Racing Team VS Race Risult.
 
 
 
1968年の締めくくり、「第6回オール関東選手権大会」開催!!
 
 1968年当時、日本でのメジャーレースは、「オール関東選手権大会」と「全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」を柱として、その他に後に関東と共に「モデルカーレーシングの聖地」と言われることになる愛知周辺地区が主体となって行われた「オール愛知選手権」なども定期的に開かれていたが、関西地区については1965年当時の全盛期と比べるとかなり縮小状態が続いており、今後の発展に赤信号がともっていたというのが実情だった。さらに、マスコミ報道による「モデルカーレーシングは不良の始まり」などによって規制が厳しくなったのも一因だという。結果、熱心なマニアに支えられて、2つのサーキットを中心として活動していたようだ。

 さて、第6回を迎えた「オール関東選手権大会」は、なんと東京 巣鴨サーキットで初めて開催された。 実は、このサーキットは、私の地元(当時東京 板橋に住んでいた)のサーキットであり、よく通ったものである。コース中心部の柱の後ろに貼られているジャガーDタイプの走行ポスターは特に印象深い。また、ストレートの後ろ壁面に色々なパーツが吊り下げられていて、ショーケースもその下に並べられている。そして、手前が大きな窓ガラスがあるのだが、その前に自由に使用できたボール盤が置いてあり、よくスポンジタイヤを削ったものだ。

 このオール関東でも8月に行われた「全日本モデルカー・レーシングチーム対抗レース」でのレースウェイ・ムサシノの完全制覇の余韻が参加者にも影響しているかと思いきや、意外とそうでもなかったのは少々不思議な気がする。
ただ、GTクラスとストックカークラスの準優勝は、まさにレースウェイ・ムサシノのシャーシであった。しかし、ここでもニューウェーブの予感を感じることになる。
解説でも書かれているように、“カマタグランド・サーキット”が開発したピアノ線を利用したサスペンションシャーシが上位を独占したことが話題となった。そして、サイドワインダーシャーシの復活である。
 
 ピアノ線はよほどの力を入れない限り曲がらない性質を持っているために、それを利点としてサスペンション機構として利用したのが、カマタグランドサーキットタイプであった。
 
 それにしても、上位入賞車のカラーリングは綺麗だと思う。速い車は、ボディが汚いというレッテルをやっと拭い去ったような大会だったのではなかったか。特に地元 巣鴨サーキットのエース馬木選手のロータス56タービンは、実車に忠実に仕上げられており、好感が持てる。
 ただ、他の車に貼られている漫画シールのようなものは頂けない!
 
 丁度この時期、AYKのゴールドロッドシャーシが発売された頃であるが、メジャーレースでは各サーキットの特注シャーシによるハイレベルな戦いに変化していっており、さらにシャーシ、モーター、仕上げの分業化が進むことにより、さらにマニアック志向となり、ますます入門しにくいホビーになってしまうのではないかと、過去のことではあるが心配してしまう。
 
 
 

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