久しぶりのキットということで、私のお気に入りの古裂を使って作りました。元々は東急の講座の帰りに立ち寄った町田天満宮の骨董市で店じまいを始めていたおじさんのダンボールの中から引っ張りだした子供の着物、値段を尋ねたところ意外に高価。(大人の着物なら納得できるくらいの金額なんですが、材料として考えると割高に感じちゃうんですよね、子供の着物・・・)だったらこんなところに入れとかないでハンガーに掛けてよね、と思ったものの、手を離すことが出来ず、とうとう買ってしまいました。とにかくこの色と柄に心惹かれたんです。私の作品をご存知の方は、あまり使われたことがない色とお感じになるかもしれませんね。実はこういった色が嫌いなわけではなく、なかなか出会えないのです。ブルー系、特に紺色というのは難しい色。一歩間違うと野暮ったくなってしまいそうで。
写真でどれくらいお伝えできるかわかりませんが、拙い私の言葉で表現できるとすれば、着物ならではの紺と言えばいいでしょうか絹独特の美しい発色だと思います。色は全体的に渋めですが、それがかえって洗練されたバランスの良い意匠を引き立てています。その良さを壊さないようと考えながらビーズとスパングルを刺したつもりですがいかがでしょう。
繊細な平絹に合わせて芯地はキルト芯ではなく中厚手の接着芯を使いました。その他の材料も、裏地にモスグリーンのモアレ、持ち手にヴィンテージのグログランリボンと高級感のあるものをセレクトして組み合わせています。形はカジュアルですが、着物やシックなワンピースにも十分対応できると思います。
ひと針ひと針丁寧に仕上げて、大切に使っていただけたら嬉しいです。