千葉県眼科医会
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色覚異常について
 色盲や色弱と呼ばれてきたものは、最近では色覚異常と総称しています。我が国での頻度は、男子4.5%、女子0.2%位とされています。
 色覚異常は、ごく希な例を除きほとんどすべてが遺伝による生まれつきの異常です。
 色盲色弱といえば、周囲が白黒映画のように見えているのではないかと誤解され易いのです(確かに白黒映画のようにしか見えない人はおりますが、大変まれで20万人に一人位です)。異常者の大部分は、そのようなことはなく幾つかの特殊な色を見分けるのに正常の人以上の努力が要ったり、どうしてもそれが出来ないというだけのことです。
 大部分の異常者は、日常生活に支障を感じることなく、他人からも異常を指摘されないのが普通です。何の自覚も無いのに学校検診で異常を指摘される方が殆どです。
 異常かどうかの判別に最も多く使われているのは石原式色盲検査表ですが、その結果だけでは正しい診断とは云えません。沢山の検査方法で総合的に判断されなければならないのです。
 石原式色盲検査表は、スクリ−ニング法としては大変優れていますが、欠点もあります。敏感すぎるため、異常者は絶対に漏れない反面、正常者が異常の疑いありとされることもまれではありません。
 検査表の枚数が限られているので、繰り返してのテストは練習効果を生むとも云われます。入社試験前に大学生が練習によって、石原表を正解することは、わけもなくできるとのことです。
 色覚異常の有無、軽重は色々な検査法を行い、総合判定されなければなりません。
 異常の程度は軽い重い様々ですが、大部分の人は、実生活や社会の実務の上で支障を起こすことはありません。色を専門に扱う仕事や色についての判断を誤ると多くの人命に関わる様な仕事以外なら大抵のことができます。
 長い間、色覚異常についてのいろいろのことがらが誤解され、入学や就職の時に異常者は不当に不利な扱いを受けてきました。最近は正しい認識がひろまり、差別は随分減っています。近い将来には、ごく特殊な場合を除けば、色覚異常は全く問題にされなくなると思われます。
 従来から、「石原式を誤読する−色盲である−社会での実務に耐えない」という誤解に基ずく差別(入学や就職のときの異常者の締め出し)があったため、「石原表が正しく読めるようになった−色盲が治った−入学、就職試験に合格できる」との短絡的な考えで、色盲を治療しようとする試みが繰り返し現れましたが、次々と消えてゆきました。
 現在は、色覚異常の遺伝子の実態まで解明されており、世界中の眼科医の殆どは色覚異常が遺伝によるものであって、治らないと結論づけています。
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