生理痛の対処の仕方
鎮痛剤の服用
痛みがひどくて寝込んでしまう。吐き気がするなど,生理痛の症状は人様々ですね。
自分に合った鎮痛剤が分かっている方は,早めに飲んで痛みを避けましょう。
鎮痛剤の副作用は胃腸障害が主ですが,食後や牛乳など乳製品を食べた後に薬を飲むと予防できます。
生理痛で鎮痛剤を服用しなければいけない期間は2〜3日でしょう。
これほどの短期間なら,副作用を恐がるよりも,薬を上手に使って楽に過ごしましょう。
吐き気のある方は飲み薬でなく,坐薬のほうがいいでしょう。
まずは婦人科の先生に相談することです。
激しい痛みと吐き気で脳貧血を起こし,倒れてしまうほどの人が,婦人科の先生に
「生理痛とはそんなものですよ。症状がひどいほうではありません。」
と言われ,それからの痛みがましになったという例もあります。
恥ずかしがらずに一度たずねてみてはいかがですか?
下着を見直して
矯正下着で理想のプロポーションに近づける,最近の下着には目ざましい進歩があります。
でも,ちょっと待って!
ワンサイズ小さい下着を無理に身体を合わせたり,苦しいのを我慢したりしていませんか?
無理をすると血液の流通が悪くなり,血が滞って,生理痛をひどくさせることも・・・。
下着選びは試着して,プロのアドバイスを聞きましょう。
身体に合った下着で,自由に動き回れるほうが健康的ですね。
身体を暖める
下半身を冷やさないようにしましょう。
腰のあたりにカイロをあてるなどで症状が楽になります。
暖めることで経血量が増えることがありますが,早く排出してしまうのも一つの考え方です。
身体を動かす
同じ姿勢が続くデスクワークなど動くことの少ない人は血液,体液が脚に下がり,脚がむくみやすくなります。
その上,生理前は便秘しやすく,身体がむくみがちになる時期です。
足首を回す。足首の甲側,かかと側を交互に伸ばすなど,机の下でこっそりできるストレッチも一つの方法です。
生理中のストレッチは子宮を支える靭帯を伸ばし,神経をやわらげ,血行をよくします。
骨盤のうっ血を防ぐので生理痛を軽くします。
例)手を腰にあて(イスの背や流し台につかまりながらでもかまいません),かかとをつけたまま膝を曲げ伸ばします。
例)壁などにつかまりながら,かかとの上げ下ろしをします。
普段から軽い運動をして血流をよくすることを心がけましょう。
毎日早歩きを20分するなどできることから始めましょう。
香りを味方に・・・
アロマテラピーを利用する
気分転換にもなり,精神的なストレスの解放にも役立つアロマテラピー。
最近は代替療法として医療界でも注目されつつあります。
こんな方法があります。
お部屋の香りとして
アロマポットに水をはり,エッセンシャルオイルを1〜2滴たらす。
空焚きや,火の元に注意してください。
バスオイルとして
エッセンシャルオイルを4〜6滴湯船にたらします。
日本古来のゆず風呂やみかん風呂も体を暖めますが,肌の弱い人はたくさん入れないようにして下さい。
かゆくなることがあります。
また,このような柑橘系の成分には光毒性があり,光があたるとシミの原因になることがあります。
肌を露出する服装をするときは,必ず上がり湯をかけて下さい。
おなかのマッサージとして
ホルモンバランスをとり,子宮の働きを強めるオイルを薄めておなかをマッサージすることで痛みをやわらげることができます。
生理開始1週間前くらいから始め,生理中の苦しい時期までマッサージを続けます。
体のむくみをとるオイルや,リラックスできるオイルを混ぜるなど,上手に組み合わせましょう。
ホホバオイルやグレープシードオイルなど,エッセンシャルオイルを薄めるのに使うキャリアオイルには,それぞれ特有の性質があります。アロマの専門店などに相談すると,その人のお肌に合ったオイルを選んでくれるでしょう。
キャリアオイル20ccにエッセンシャルオイル6滴を目安にマッサージオイルを作ります。
お肌の弱い方や香りの強いエッセンシャルオイルは控えめに,好きな香りや効果を考えて組み合わせてみましょう。
寝る前にゆったりした気分で,おなかをおへそを中心にご自分の右下から左上方向へとゆっくり円を描いてマッサージしてください。
オイルの効用
リラックスできるオイル(眠気をさそうので集中したいときは不向きです)
ローズ,ネロリ,マジョラム,ラベンダー,サンダルウッド,カモミール,ジャスミン
ホルモンバランスをとり,子宮の働きを強める,また通経作用のあるオイル
イランイラン,クラリセージ,ジャスミン,サイプレス,ゼラニューム,カモミール,ジャスミン,ローズ,ジュニパー(腎機能の悪い方には不向き),ローズマリー(血圧の高い人には不向き)
むくみをとるオイル(腎機能の悪い方には不向き)
ジュニパー,サイプレス
体を温めるオイル
マジョラム,ゼラニューム,ローズマリー(血圧の高い方には不向き),オレンジ(光毒性があるため,バスオイルに用いる時は上がり湯を忘れずに)
注意点
妊娠中はこれらのオイルで早産の原因となることもあるので使わないで下さい。
専門店でご自分の症状や生活様式を相談のうえ,オイルをお選び下さい。
食事の注意点
生理前は身体が妊娠にそなえて水分,養分をたくわえる時期です。
ダイエットに成功しにくく,便秘,むくみのでやすいのはこのためです。
排卵後,女性ホルモン(エストロゲン)が少なくなりますが,この時期,血液中のモノアミンオキシゲナーゼ(MAO)の活性が高まるために,生理前はイライラしがちです。
この時期,お酒を飲むと,アルコール分解酵素の働きを排卵後に増える黄体ホルモン(プロゲステロン)が阻害するため,悪酔いしやすくなります。
また,お酒のおつまみは塩分の高い物が多いので,よけいにむくみの原因になります。
ビタミンCの多い野菜や果物をおつまみにすると良いでしょう。
PMS(月経前緊張症)と言われる月経前3日〜10日くらいの時期は上に記したようにホルモンの変化ばかりでなく,ビタミンB6やマグネシウムの不足が言われています。これらを上手に取り入れて、少しでも軽くなるようにしましょう。
またイライラには神経を鎮めるカルシウムが一番。ホットミルクにバニラエッセンスとラム酒を少量落としてみてください。牛乳臭さもなく,飲みやすくなります。
月経過多にはマンガンも効果的です。
月経血の量は150CC以下ですが,鉄欠乏性貧血の人は鉄分の補給も必要でしょう。
鉄分をとる時はビタミンCも一緒の方が吸収がよくなります。
鉄の利用を助ける銅も注目されてきていますが,鉄を含むのと同じ食品群に多いので、特に意識しなくても摂取できると思います。
また血流をよくするビタミンEは、うっ血を予防します。
ビタミンと聞くと生野菜と思いがちですが,生野菜や果物は体を冷やします。これらも加熱調理したり,冷蔵庫で冷やし過ぎないようにして食べましょう。ビタミンCは加熱すれば壊れますが,野菜に火を通すことでたくさんの量を食べることができるので,摂取量にそう変わりはありません。
また,
根菜類には体を温めるビタミンが多く入っています。
体を暖めるたんぱく質や,神経の働きや血行をよくするビタミンB・C・E,造血作用のある鉄分などたくさん取って冷え性対策を普段から心がけましょう。
また,ニラ,ショウガやおネギ,カラシ,ワサビ,唐辛子,パセリなど香辛料やハーブを上手に取り入れるといいですね。(胃の弱い方は刺激の強い物は避けた方が無難です。)
有効成分がたくさん入っている食品
ビタミンB6を多く含む食品 肝臓,肉,魚,豆類,卵,とうもろこし
マグネシウムを多く含む食品 あおのり,干しひじき,ココア,コーヒー,ごま,アーモンド,
カルシウムの多く含む食品 牛乳,ヨーグルト,チーズ,小魚
マンガンを多く含む食品 のり,ゆば,パセリ,アーモンド,きな粉,大豆,栗,干ししいたけ
鉄を多く含む食品 肝臓,卵黄,貝類,きな粉,煮干し,のり,ゆば
ビタミンCを多く含む食品 かんきつ類,いちご,ピーマンの油いため,ゆでた芽キャベツ
ビタミンEを多く含む食品 米・小麦胚芽,ちしゃ,肝臓
参考文献
家庭でできる食事療法事典 新星出版社
新編食品成分表 一橋出版
アロマテラピー事典 フレグランスジャーナル社
エッセンシャルオイルブック 双葉社