弁護士 久保 実穂子
1.被害者のために弁護士ができること
私が弁護士になってから続けている活動の1つに、犯罪被害者支援があります。
そこで、今回は、弁護士の被害者支援にはどういったものがあるのか、大まかではありますが、ご案内いたします。なお、一部、ほかの地域には無い、札幌弁護士会独自の活動もありますのでご注意ください。
2.様々な支援
(1) 電話で相談したいとき
札幌弁護士会の「犯罪被害者支援委員会」の弁護士が、以下の時間帯で無料法律相談を行っています。また、電話相談だけでは十分でない場合には、面談による相談も行っています(初回は相談料無料)。
電話番号 011-251-7822
相談日:毎週月曜日 午前10時30分~午後0時30分
毎週水曜日 午後5時~午後7時
相談料金:無料(※通信費は別)
備考:祝日、お盆期間、年末年始を除く
注:ご利用は北海道内に在住の方又は北海道内で生じた犯罪の被害に遭われた方に限ります。
【詳しくはこちらをご確認下さい】
(2) 弁護士と面談で相談したいとき
札幌弁護士会法律相談センターでは、犯罪被害者支援事件を扱うことに登録した弁護士を紹介する制度があります。
こちらは電話相談は行っておらず、札幌弁護士会法律相談センターに電話申込み(011-251-7730)あるいは札幌弁護士会館2Fへ直接行き受付をすることで、登録弁護士を紹介してもらえます。
申込受付時間:月~金曜 9:00~12:00、13:00~16:00
【詳しくはこちらをご確認ください】
(3) 弁護士はどういった支援をするのか
ア 被害者参加
まず、既に刑事裁判になっている場合、一定の重大犯罪(例:殺人罪、傷害罪、危険運転致死傷罪など(いずれも未遂を含む)、不同意性交等、不同意わいせつ罪(未遂含む)、過失運転致死傷罪など)については、「被害者参加」をすることができます。
「被害者参加」をした場合、参加した人は、裁判(公判期日)への出席、検察官に対する意見陳述、情状証人への質問、被告人質問、事実または法律の適用についての意見陳述をすることができます。
この「被害者参加」は弁護士を就けなくてもすることができますが、以下の資力要件を満たせば、国費で弁護士を選任することができます(令和7年7月現在、これを「国選被害者参加」といいます)。
なお、勿論、自費で弁護士を就けることもできます。
①資産(現金・預貯金などの流動資産合計)
②費用(犯罪被害に遭ったために、今後6ヶ月以内に支出することになる治療費など)
① - ② < 200万円
イ 日本弁護士連合会による犯罪被害者法律援助制度
このほかに、国からは弁護士費用は賄われませんが、日本弁護士連合会の法律援助事業の中に、次の行為により被害を受けた方またはその親族、遺族が利用することのできる「犯罪被害者法律援助」制度というものがあります。
【対象者の要件】
生命、身体若しくは自由(性的自由を含む)に関する犯罪、ストーカー行為、配偶者(婚姻届出をしていない事実上婚姻関係と同様の事情にある方も含む)からの暴力、痴漢、盗撮などの性的犯罪の被害者
なお、この制度を使う場合にも、上述の国選被害者参加弁護士と同様、一定の資力要件があります(令和7年7月現在)。
①資産(現金・預貯金などの流動資産合計)
②費用(犯罪被害に遭ったために、今後1年以内に支出することになる治療費 など)
① - ② < 300万円
また、この制度は、犯人(加害者)が逮捕、勾留、刑事裁判に掛けられる(起訴される)前にも利用することができるため、援助の対象行為も、被害届提出、告訴・告発、事情聴取同行、検察審査会申立、法廷傍聴付き添い、加害者側との対話、刑事手続における示談交渉(ただし、加害者から示談の提示があったとき)、報道機関への対応など幅広いものとなっています。
ただし、この制度を使った場合、弁護士費用については、基本的には被害者に負担を求めない考え方で運用されていますが、負担の有無については法テラスが決定することになっているため、必ずしも無償で使えるとは限らないのでご注意ください。なお、援助活動の結果示談等が成立して、現実に利益が得られた場合は、金額に応じた割合で、法テラスが決めた成功報酬を受任弁護士に支払うことになります。
【詳しくはこちらをご確認ください】
ウ その他
このほかにも、勿論、自費で弁護士を就けて、加害者に損害賠償請求をすることもできます。また、被害者が資力基準を満たしていれば、法テラス(民事法律扶助制度)を使って、弁護士費用を立替払いしてもらうことができます。
【法テラスについて詳しくはこちらをご確認下さい】
なお、弁護士法人村上・久保法律事務所においては、いずれの制度も利用することが出来ますので、お気軽にご相談・お問い合わせください。