●不真正連帯債務者間の求償権の時効

弁護士 村上 英治

備忘録です。
論点は、交通事故で、共同不法行為者の片方の保険会社が被害者に保険金を支払った後、他方の共同不法行為者に求償請求をする際、その求償請求権の時効は何年か、という点です。

 事案の概要は次の通り。
 二人乗りをしていた原付自転車と普通貨物自動車が交差点で衝突し、原付自転車の同乗者が死亡したという交通事故において、死亡した原付自転車の同乗者に保険金を支払った保険会社が、原付自転車の運転者に求償金請求をしたという事案です。
 これに対して、東京地裁平成27年1月23日判決は次の通り判示しました(自保ジャーナル1945-108)。
「原告が被告に対して行使する不真正連帯債務者間の求償権は,公平の理念から認められるものであって,3年の短期消滅時効を適用すべき実質上の理由もなく,性質上も一般の債権というべきであるから,時効期間は10年(民法167条1項)となると解するのが相当である」
 つまり、不真正連帯債務間の求償権の時効期間は10年という判断です。なお、判決理由中には、明確には、「いつから」10年なのかという、時効期間の起算点は判示されていませんが、求償権が保険金を支払うことにより生じるものであることからすると、保険金を払った時から10年と理解するのが相当と考えます。

2018年11月13日