海外旅行者に向けて現地情報を24時間発信



第41回定例会 6月23日 プレスセンター
海外の今をオン・デマンドで 海外旅行者に向けて現地情報を24時間発信     リバティメディア社長 三田智恵子 海外旅行者が年間1600万人を越えた 今、求められる情報の質もスピードも変わ るのは当然のこと。一方FIT( Free Ind ependent Travel=海外個人自由旅行) と 呼ばれる個人旅行者がますます増えつつあ る中、安全性の確保も重要なテーマだ。 1993年6月、海外旅行者向けに海外1 0都市の情報提供サービスからスタートし 、現在では海外60都市の情報を提供して いる。現地在住の通信員を40人置き、情 報に疎漏の内容に務めている。 情報を売り物に5年前に誕生した情報社会 の申し子的会社であるが、現在の1600 万人のニーズ、21世紀初頭には2000万人になると予想される海外旅行者のニー ズに支えられて、新しい国際情報ネットワ ークをより強固にし、海外旅行者の期待に 応えていきたいと思っている。 1.旅ワールド放送局とは すでにご承知のように、NTTのダイヤルQ2システムは、電話による音声情報サー ビスとFAXによるハードコピー情報サー ビスを使い分けられるようになっており、 リバティメディアでは、これを使って海外60都市の現地情報を24時間サービスし ている。利用者は、都市別、テーマ別に、 自分が欲しいものを選ぶことが出来るとい う点では、インタラクティブなシステムだ 。  NTTがダイヤルQ2を始めた当初は、いかがわしい情報提供も多く、評判を落と したが、システム自体はなかなかのものだったので、良い情報を提供続ければ社会は 受け入れてくれると信じ、続けてきた。  ダイヤルQ2が社会の評価を回復するまでの間、情報収集のためのネットワークづ くりに専念できた。世界に40人の通信員を置き、彼(彼女)等から内容に応じて、 毎日・毎週・毎月レポートが届く体制もできた。  電話情報サービスは、毎日更新される 「明日からの天気と服装・為替」や、毎週 更新される「旅の安全アドバイス」「耳よ り旅先案内」などが主なメニューである。 これは社内にある録音スタジオで専属のア ナウンサーが吹き込んだもので、電話機の オンフックの機能を使うと、ラジオを聴いているような感じで、必要な情報をきくこ とができる。 FAX情報サービスは、毎月更新される「今月の街の楽しみ方」や、「おすすめフ ータイム」「最新安全レポート」などの情報が入手できる。 これらの利用料金は1分100円で、FAX1回あたりの平均は、およそ700円 になっている。アクセス数(利用者)は1日平均1500件で、NTTの有料電話( FAX)ではベスト3に入っている。 2.海外安全ネットワークとは 1988年8月に官民が協力して設立された、外務省の外郭団体である社団法人国 際交流サービス協会が主催する会員制のサービス・システムで、運営は海外安全ネッ トワーク事務局としてリバティメディアが委託を受けて、1994年12月より、独 自のパソコン通信サービスとFAX検索サービスによる24時間提供を始めている。 法人会員数は150機関で、ほとんどの都道府県と国際企業、報道機関が加盟して おり、120カ国、180地域の日本国大使館および領事館が発信する治安・防犯情 報を利用している。さらに対象を個人にも広げ、個人会員として約70人が利用して いる。  これまでは外務省情報を中心にして、必要とする情報を、必要なときに、といった 対応をしてきたが、今後は、民間情報を加えたり、また、世界各地の地元通信社・新 聞社などと協力し合いたいと考えている。  また、より強力な犯罪予防のために、現地での受け入れシステムや緊急手段を講ず るなどして、サービスを完結させることも必要であろうと思っている。 3.高度情報社会の中で  リバティメディアが日常提供している情報は、海外渡航者向けの、いわば旅行情報 といえるものが主流であるが、海外旅行といっても、外遊然とした格式張った形態で はなく、日常生活の場がそのまま海を渡るといった感覚の形態が増えているように思 う。  となると、情報の内容も、かつての観光やショッピングをテーマとするものだけで は飽きたらず、街角ニュース的なものの欲求が生まれてきており、世界各地の生活実 体を情報として伝えていくことになるだろう。海外旅行者は、昨日より今日、今日よ り明日の情報を求めているので、それに応えねばならないと考えている。  現在は情報メディアとして、文字と音声を扱っているのだが、次の段階として映像 を含めたものへと準備中だ。時あたかも、ツールとして軽便な、デジタルビデオ、デ ジタルカメラが市場に出回ってきている。 キャラクター原稿が手元に入るように画像・映像原稿がレポートとして入り始める時 も近いと思っている。  目標としては、衛星デジタル放送やCATV等を視野に入れており、それらにコン テンツを提供できるようにすること。300チャンネルが果たして生き残れるかは疑 問であるが、中身(コンテンツ)が不足するであろうことは確かだと思うので、マー ケットとしては可能性が高いと考えている。 たった16人のスタッフで運営している会社であるが、強みは全員がこの道のノン ・キャリアであり、いわば素人集団であることだ。その道の成功体験は時として自信 と思い込みが災いとなり、チャレンジング・マインドを阻害する。非常識・脱常識で あるが故に突拍子もないことを考える。ディジタルをキーワードとする現代は大抵の ことが可能だから面白い。  最後に、ジャーナリストの皆さんに感謝したい。1993年にこの事業をスタート して以来、新聞・雑誌、テレビ・ラジオに、ベンチャー企業として、女性社長(経営 者)として、ダイヤルQ2の事例として、コラムニストとして、・・・数多く取り上 げていただいた。皆様方のお力添えでここまでになれたと思っている。これからも知 恵を絞って海外旅行者のために経営をしていきたいと思っているが、その過程で、皆 様方の関心を惹くようなことがあれば、また引っぱり出していただきたいと思ってい る。   ***************  三田社長はこの講演を終えてホンコンへ向けて旅立つという。一歩距離を置いて情 報感性で受け止めてきたいとおっしゃる。 情報を発信するにはその現場に立つのが鉄則。それを地でいくリバティメディアの、 7月1日からのホンコン情報がどう変わるか。楽しみである。


「目を覚ませ、お人好しの日本人」
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