SOHOの現場から−報告と提言



第39回定例 4月21日 プレスセンター
SOHOの現場から−報告と提言 (株)クラブハウス代表取締役/ギルドジャパン事務局 河西保夫 ■SOHOとは  Small Office & Home Office workers の略。独立の小規模事業、個人事業者、在宅  ワーカーから大企業のテレワーカー、フリーランサーなど、さまざまな職種を含み、 フリーター、アルバイター、ときには家庭のシャドウ・ワーカーまで包含することも。 したがって、その実態は明らかではない。  日本では、10人以下の事業所が530〜550万、個人事業者をあわせて4100 万人と推計される。 ■なぜ注目されるのか  産業構造、就業構造の変化にともなう労働移動、潜在失業の増加、女性、中高年の就 業増などによって、今後、SOHO型の就業形態がふえる。大企業も雇用形態の多様化 をはかるなかで、SOHO化をすすめようとしている。  またネットワークに依存するテレワークもふえる。現在、情報系のSOHOは600 万人と推計されるが、郵政省、労働省は大企業のテレワーカーだけでも現在の60万人 が2001年には360万人になると予測する。 ■SOHOの活動  SOHOの仕事はかなり流動的だ。たとえば、わたしたちのクラブハウスは、フリー のレポーターや個人営業のレコード会社などの共同オフイスで、さまざまなイベントや 企画出版、商品開発など、プロジェクトに応じてその都度、関係職能のスタッフがチー ムを組み、終われば解散する。各スタッフは、収入やキャリアの向上を求めて、つねに 新しい分野、おもしろい仕事へ移動する。  つまり業界団体や労働組合に加入していない非組織の事業者、労働者であり、対象業 種の区分も無意味な世界だ。 ■その問題点  これまでSOHOや個人事業、零細企業にたいする政策はなかったこともあって、S OHOはいまなお公的に認知されておらず、ほとんどが法人格をもたない。このため事 業者としての契約行為、たとえば事務所、住宅の賃借、ローン借入、コンピュータのリ ースなどができない。信用保証もえられないため、ATMのお世話になることが多い。 もちろん公的補助、投融資もないが、公的事業の門戸を閉ざされ、その情報も流れてこ ない。しかもSOHOは、徹底した競争市場だ。アニメやゲームソフトに典型的にみら れるように、30歳までに芽がでなければおしまいといわれ、事業の命運は3ヵ月から 3年の短命ともいわれる。たえざる勉強を必要とするが、労働時間はきわめて長く、賃 金もアニメの業界など、この25年間、昇給なし、初任給6〜8万円。退職金、年金、 健康保険など、生活の基本的保障も不十分だ。  事業としては決算書もなく、職能人としての公的資格、キャリア証明もなく、要する に存在証明がなく、いまだ市民権を得ていないのがSOHOの実情だ。 ■ギルドを結成しよう  戦後の農地解放と農協になぞらえていえば、こんご急成長するSOHOのために、情 報解放と情報生協・電子組合の設立を提唱している。全国情報協同組合、ギルドジャパ ンの準備委員会で、政府の認可をもとめ、政党にも働きかけている。  ギルドは、ベンチャー・キャピタル、エンジェル投資の紹介、事業資金の借入れ、リ ース、取引、仕入、債務保証などの信用創造と、共同オフイスをはじめ、公共事業コン ペへの共同エントリーや案内・カタログ、広告宣伝、マーケティング、販路開拓、資財 購入、コンピュータなど共有設備、人材バンクなどの共同化、クレジットカードや共済 型保険、医療サービス、不動産紹介などの福利厚生の共同化を計画。インターネットに は会員の活動プロフィールを掲載している。 ■質疑・意見交換 ? NPO、NGOなどの市民団体、ワーカーズ・コレクティブや生協などとの関係。 ? ILOでのホームワーク研究会。 ? インターネット、ニフティ・エフワーク(4万人)のSOHOギルド。 ? 大企業のSOHO化。ダブル就業、アウト・ソーシング。 ? インターネット上のSOHO向けサービス−保険 ? 情報資本主義−たえざる変化、流動。


「持株会社制度導入をめぐって」
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