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平成16年7月1日発行 第34号 |
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5.【編集後記】 |
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1.E君よかったね |
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社会福祉法人しののめ会 理事 亀田 好子(かめだ たかこ) |
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2週間前のある朝、「とも」から「愛泉保育園」に電話をしました。5分おきに6回電話をかけて、やっとつながるほどの長電話でした。 |
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私は、高橋先生(愛泉保育園・園長)から「E君のお母さんからの電話だった」と告げられました。E君が以前より定期的に受診していた東京のTクリニック(東海大学医学部の担当医より紹介された小児自閉症の専門医)での受診の結果「もう自閉的傾向はまったく見られず、健常児ですよ」と太鼓判を押されたのだそうです。 |
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私は、高橋先生から「E君のおかあさんが、私にも電話を入れる」といっていたというので、早々に電話を切りました。そのとたんに電話が鳴り受話器をとると、やはりE君のおかあさんでした。 |
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E君は当時、住んでいた横浜の病院で「重度の自閉症児です。治ることはありません」と診断されていました。しかし、両親はなんとかE君の症状を軽くしたいと思い、探し回った末、たどりついたのが愛泉保育園でした。年中児からは、前橋市に移り住み、2年間を愛泉保育園で過ごしました。 |
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そして、私が決して忘れることのできない彼が最初に発したことばは「シカ」でした。それは、東毛少年自然の家での親子合宿の際のことです。自然の家の玄関に置いてあった鹿(のハクセイ)を見て、E君が「シカ」と言ったのでした。 |
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私は思わずE君のほうを振り返ると、E君のおかあさんは「先生、Eが言いましたよね」「言いましたよね」と、何度も私に尋ねました。私も「言ったね。ことばだったね」と返したのを覚えています。 |
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E君のおかあさんは、タオルを顔に当てて涙を流していました。しかし、それからも本当につらいトンネルが続いたのです。 |
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おとうさんとは、もちろん別居生活でした。しかし、そのおとうさんのふんばりも立派でした。週末には必ず前橋に来てE君といっしょに山に登っていました。赤城の鍋割山、直登コースの岩場も登るなど、重度の自閉的な子どもに大変よいと聞けば、E君のためにそれをやりきったのです。 |
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そして、E君は担任の塩野(旧姓:千明)保育士が大好きで、担任の指示もすんなり理解できるようになったころ、急にことば(の種類)も増え、会話もできるようになってきました。 |
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愛泉保育園に来た当時は、先が見えなく、両親にとって本当につらく苦しいときだったと思うのです。しかし、他力を借りず生活を日々大事に過ごし、黙々とやりきったE君の両親の勝利だと思います。本当に頭が下がります。 |
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現在は、大磯にある私立の小学校の5年生です。元気に明るく友達と過ごし勉強も頑張っているとのことでした。 |
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私は現在、授産施設「とも」の施設長をしています。この26年間、保護者との関係が非常に難しかったと思っています。保護者は目先の「今」に悩みます。しかし、私は子どもたちの将来を見据えて、今をたくましく生きてほしいと願うのです。 |
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いよいよ(現在計画中の)「とも・いせさき」の建設が始まります。先日、13年前に愛泉保育園を中途退園していった重度障害児T君の保護者が、「とも・いせさき」に子どもを入所させてほしいと訪問してきました。私はT君の親が訪ねてくるとは夢にも思っていなかったので、とても驚きました。 |
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そして、おかあさんから「他園に移って愛泉のよさはわかりましたが、戻ってこられませんでした。しかし、我が子のことを思ったとき、”とも”に入所を希望したい」とのことでした。 |
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私は、はっきりとあの当時、中途退園をさせた保護者の姿勢は、愛泉保育園に対する誹謗・中傷以外の何ものでもなかったこと、私の思いをわかってもらえらなかったことを伝えました。今回、高いハードルを越えた両親であったことは事実ですし、子どもに責任はないので、T君を拒まず、縁があれば必ず入所できることを伝えました。 |
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私は、このような父母とのやりとりのくり返しが、これからも続くのだろうと考えながら、改めて、日々の生活を大事にすることを広めなければいけないと思いました。 |
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今、子どもたちがおかしくなってきています。それは、朝型生活をすれば必ず落ち着いてきます。文部科学省も、厚生労働省も、目先の「○○(なになに)をしている」ということではなく、日々の生活の保障ができる社会になるような改革をしてほしいと思っています。 |
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2.子育てひろば |
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● ほいくのあゆみ ● |
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愛泉保育園は、亀田好子理事が24歳という若さで1980年(昭和55年)に認可保育園としてスタートさせた保育園です。愛泉保育園は働くおかあさんを支えるという、大きな役割を担うとともに、常によりよい保育を目指し、保育園全体で学習を重ね、保育の内容を検討改善してきました。 |
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開園時より6年目までは、他園と同じように午後昼寝をしていました。その間、故河添先生の講演を聞いたりする中で、当時の子どもの様子に疑問を感じていた折(朝からあくびをする子、姿勢の悪い子、なんとなく活気のない子、興奮しやすい子、落ち着きのない子、昼食時に眠くなりしっかり食事のできない0歳児・1歳児)、生体リズムに添った生活リズムの大切さを学びました。 |
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朝、体を使った活動をする手指の活動をおこなうことなどはすぐに実行に移せますが、午前中に昼寝をさせるということについては、保育園だけで決定・決行できる内容ではありませんでした。午前昼寝の必要性を説明し、父母の了解を得て1986年(昭和61年)4月、半年の試行期間を設けて実施にふみきりました。 |
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3歳未満児は、当たり前のように眠りにつき、3歳以上児も、全員とはいえませんでしたが昼寝ができました。午後に昼寝をしていた時でも眠れない子どもはいたわけであり、午前だから眠れないというものではないように感じました。 |
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試行期間後、予想していたように、子どもたちの生き生きとした姿が感じられるようになり、保育園、父母間でも、このまま午前昼寝を続行するということで確認をし、現在に至っています。 |
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しかし、私たち保育者の力不足もあり、生活上のアドバイスをしたつもりが、父母の方にとっては、午前中眠らないと保育者が困るので、早く起こしてと言われているように受け取られてしまったりしたこともありました。 |
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反面、賛同の声も多く聞かれました。午前昼寝に切り替えても、土曜日は半日だけなのに昼寝で終わってしまうように思えて、うしろめたさもあり、昼寝させずに活動していました。すると、父母の中から「何で土曜日は寝かせないのですか」「土曜日だけ家で午後昼寝になってしまうのはおかしい」という声も上がり、以後、現在のように毎日土曜日も午前昼寝をするようになったのです。 |
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低年齢の子どもの事件が次々と起きていますね。テレビ・映画・漫画などの影響もないとは言いきれませんが、早く寝て早く起きる、家族と一緒に食事をし、家族や友達とおしゃべりをし、体を動かすという、当たり前の生活が大切だと、いろいろなところでいわれるようになりました。 |
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当たり前の生活をするのには、大変と感じてしまうこともあります。当たり前が当たり前と思えない限り、やらされていると感じる限り、大変なこととしか思えなくなってしまうでしょう。でも、冷たい北風が吹く頃も朝夕ずっと親子で歩いて登園するおかあさんもいます。出勤時間がほかの人よりゆっくりなのでしょうか。朝だけ歩いて登園しているお母さんもいます。 |
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時間のあるときは、山登りに出かける人もいます。それぞれ職場・家庭などの事情が違いますが、空いている時間は誰にでもどこかしらであると思うのです。ちょっとした気持ちに余裕を持ってみましょう。きっと、親子で共有できた喜び、うれしさに出会えることでしょう。 |
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3.のびのび予定表 |
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1.月曜日開催「のびのび」 |
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【場所】愛泉保育園 【時間】午後1時から2時30分 |
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【開催日】7月5日・12日・26日/8月2日・9日・23日/9月6日・13日・27日 |
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2.水曜日開催「のびのび」 |
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【場所】城南アリーナ 【時間】午後1時から2時30分 |
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【開催日】7月7日・14日・21日/8月はありません/9月1日・8日・15日 |
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3.土曜日開催「のびのび」 |
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【場所】愛泉保育園 【時間】午前9時から10時30分 |
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【開催日】7月17日・31日/8月7日・21日/9月4日・18日 |
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4.あそぼう赤ちゃん |
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0歳から1歳前後の赤ちゃんを対象に、月曜日から金曜日の朝9時から10時頃まで、赤ちゃん体操やハイハイ遊び、いろいろな物を使っての遊びなどをしています。 |
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育児上の心配ごと、困っていること、具体的な方法など何でも結構です。相談に応じていますので、気軽に声をおかけください。 |
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5.編集後記 |
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