藍生ロゴ 藍生1月 選評と鑑賞  黒田杏子


白鳥の初陣飛来初着干す

(島根県)原 真理子
 宍道湖に白鳥が飛来したのですね。原さんのひとり娘あかりさんにお子さんが誕生。湖近くに住まいのある原家。純白の初着がひるがえる。野鳥の白鳥のはばたき。原さんらしい生命感が一行にこめられています。出雲讃歌でもあります。



名月や来し道これから惑ふ道

(石川県)安藤栄治朗
 安藤さんは新しく「藍生」に参加された方。四十代の若さ。名月の晩の想いを率直に述べておられます。来し方これから惑ふ道と書かれたところに注目しました。巧みな、句に慣れた表現ではありませんが、こういう一行からスタートされることに共感いたします。



いちじくはいづこに実りても冥し

(神奈川県)高田 正子
 いちじくは句材として実に興味深い。高田さんもチャレンジされているのだと思います。どんな角度からも詠めますが、決定打とはなりにくい。私は食べ物としてのいちじく狂であると同時に、いちじくの句に長年に亘って挑戦してきました。いづこに実りても冥し。かなり決まったのではないでしょうか。正子さん、もっともっと迫れます。私は一行に三百句は詠みました。


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