aoilogo2022年9月藍生主宰句
満齢八十四歳涼し
黒田杏子


月暦八月十日まで涼し
めざめれば朝涼といふ贈り物
身のどこも痛まぬ八十四歳涼し
天上くまなく八月十日蒼々と
八月十日満齢八十四歳涼し
蚤も蚊も姿を見せぬ七階に
涼新たけふといふ日を待ち兼ねて
月涼し音楽はまづブラームス
昇りくる涼しき月に赤ワイン
きうり揉み茄子のしぎ焼誕生日
カルフォルニアワイン二人であけて涼しかり
ちひさな住居涼しとふたり棲み
涼風に眼閉づれば荷物来る
八月十日ちちはは在りし日の杳く
山口青邨いそ夫人涼しかり
感謝して本郷の月涼しかり
眼前に十三夜月涼しかり
高田正子『黒田杏子の俳句』涼し
こんなにも嬉しきひと日八月に
無名祖母クニそれは涼しき一生


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