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黒田杏子
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はればれとにこやかに坐し蟲を聴く 朝茶賜る寂庵の蟲しぐれ 嵯峨野僧伽蒼天無限鉦叩 邯鄲ね寂聴さんの微笑また 「徹夜校了」暁の蟲朝の蟲 微笑佛筆塚いよよ蟲しぐれ 「ありがたかつた得度できて」蟲しぐれ 縁側に両の脚垂れ蟲を聴く 筆一本貫徹一生蟲浄土 出家されてのち あつといふ間ね四十年蟲の庵 邯鄲を聴くと書こうと思うのね 忘れませんみちのくのあの蟲の闇 蟲浄土みちのく浄土はるかはるか 生ぜしも死するも独り鉦叩 紫式部も髪下ろしてます蟲しぐれ 書く事が人生でした蟲の闇 書いて書けてありがたかつた鉦叩 みちのく天台寺 三句 広大無辺御山杳き蟲しぐれ 世界一です御山の蟲しぐれ 御山に合掌寂庵蟲しぐれ |