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黒田杏子
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第一便新茶四月二十八日朝 新茶下さる二藤覺氏植木職 一人暮らしの億みきさんから新茶 くろばねの自家製新茶ずつしりと 水出しの森の新茶を朝な夕な 遠州夢咲の三缶の新茶 想ひ出すよきことばかり新茶汲み 雨音のしづかに満ちてくる新茶 朝刊三紙ざつと読む新茶淹れ 訪ふことも訪はるることもなく新茶 新茶淹れ疎開児童の頃の事 本ひらくうれしさ新茶とどきけり よき句集読了新茶淹れ祝ふ 詠み読みて書く障害者新茶享く 選句して新茶添削して新茶 無頼寂聴存在者兜太に新茶 新茶汲む鉄瓶で白湯沸かしては 志摩町の浜口家より石蓴の荷 新茶届く石蓴も届く七階に 石蓴頂く新茶頂くみどりの日 |