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黒田杏子
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馬小屋の秣にひかるのは螢 ほうたるの明滅小学一年生 ほうたるのひかり寂かに夜が来る ほたる火をかがんで見つめ疎開の子 戦争はまだ続きます螢の夜 ほうたるに村の子だれもおどろかず 学校へ片道一里草ぼたる 父の生家のその端にほたる川 土間に積む朝の刈草ほたる這ふ 青田よりぴかぴかほたるぴかぴかと ほたるくる上り框に機織機 絣織る叔母にゆらりと大螢 土間を抜けほうたるのゆく井戸端へ 裏庭にほたるが好きなつるべ井戸 ほたる火のふたつつるべにひかり合ふ ほうたるのとび交ふ屋敷神三社 子供らのむぎわらで編むほたる籠 編み上げて母に手渡すほたる籠 川上のほたるしづかに光り増し 屋敷川たちまち螢川まぶし |