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黒田杏子
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五月来る瀬戸内寂聴百歳忌 出離者の学び働き祭笛 生涯の仕事は源氏五月晴 寂聴のその名を生きし青葉闇 祭来る嵯峨野僧伽の微笑佛 人のため世のため杳き祭笛 寂庵の五月もつともまみどりに むらさきの法衣丈詰め更衣 祭笛シャンパンと肉各地より 黄菖蒲百茎「白道」で乾杯 書き続け死ぬと決めたる青嵐 葉櫻のしだれいつしか地にとどき 菖蒲湯を浴びていよいよ筆走り 天台寺よりの真清水汲み分けて 鉢の花ブーケ切り花五月晴 ちまきとりどり列島の各地より よく眠り顔施五月の誕生日 新茶汲む法臘四十八歳の 出離者の五月僧伽の森深く 無頼出離者白寿往生涼し |