aoilogo2022年5月藍生主宰句
出離者の五月
黒田杏子


五月来る瀬戸内寂聴百歳忌
出離者の学び働き祭笛
生涯の仕事は源氏五月晴
寂聴のその名を生きし青葉闇
祭来る嵯峨野僧伽の微笑佛
人のため世のため杳き祭笛
寂庵の五月もつともまみどりに
むらさきの法衣丈詰め更衣
祭笛シャンパンと肉各地より
黄菖蒲百茎「白道」で乾杯
書き続け死ぬと決めたる青嵐
葉櫻のしだれいつしか地にとどき
菖蒲湯を浴びていよいよ筆走り
天台寺よりの真清水汲み分けて
鉢の花ブーケ切り花五月晴
ちまきとりどり列島の各地より
よく眠り顔施五月の誕生日
新茶汲む法臘四十八歳の
出離者の五月僧伽の森深く
無頼出離者白寿往生涼し


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