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黒田杏子
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立春の暁方に大往生 五句 安らかに満ちたりて花を待たずに 磯見漁師句友凡太氏花を待ちつゝ ゆつくりと急げ人生花を待て 凡太氏の封書一通花を待つと 天上大風良寛さんと花を浴び 二〇一四年四月十八日 滝櫻 五句 むらさきの花の闇いまうすれゆき 日の出待つこの千年の花の木と どん底のその下は無い花満ちて 避難地よりやつてきました花を見に 滝櫻万朶被曝者障害者 佐渡御所櫻 五句 島びとの花見重詰花筵 御所櫻しづかに万朶たる香り 花の香の小径をゆけば乗船場 島びとのやさしなつかし花の香と 花の香と島びとのこゑ夕日中 大阪 弘川寺 五句 ぎつしりと積むはなびらのこの小径 花びらを踏みしめのぼりゆく墓所へ 西行のうた西行の花の墓所 掃き清められたる大地花の散る なつかしき西行法師花のこゑ |