藍生ロゴ 藍生7月 選評と鑑賞  黒田杏子


父のこと母のこと花降りやまず

(神奈川県)高田 正子
 私の中では、正子さんといえば、東大の女子学生の姿。そして、寂聴先生のみちのく天台寺での晋山式に出席したその日に帰京。翌日が高田正子さんの結婚式であった事を忘れません。ご両親が一人娘の正子さんをどれ程慈しまれたことか。頂いたお手紙は正子をよろしくお導き下さいと常に結ばれて居りました。その正子さんの労作『黒田杏子の俳句』がこの夏深夜叢書社より刊行されます。連載第一回を目にされた齋藤愼爾さんが「黒田さん、これは僕のところで出させて下さい。いい本にしますよ」とお電話下さった。ありがたい事でした。そのお約束通り、黒田の誕生日、この八月十日刊行。ご期待下さい。



日暮より先に暮れゆく山桜

(千葉県)石川 仁木
 仁木さんはいま俳句に打ち込んでいます。つとめを辞し、貯えの尽きるまでは、句作修行でゆくと決められ、その決意を実践中。大きな桜の木が眼前に浮かんできますね。



山ざくら今をしづかにひらきをる

(神奈川県)石川 秀治
 石川秀治の桜ですね。これ以上でも以下でもない。無欲の句の立姿。見事と思います。


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