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黒田杏子
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山櫻しづかに日の出待ちにけり 昇りくるお日様のこゑ花のこゑ 八十の花の記憶の無盡蔵 逢ひにきて近づいてゆく朝櫻 発心の花巡りきし祷りきし 花の彼岸へいそがずに白き蛇 昇りくる朝日いよいよ飛花落花 つどひきたりて四五人の花の句座 それぞれに生きて一日を花の句座 しだるるは嵯峨野僧伽の朝櫻 月光の嵯峨野僧伽の糸櫻 濃むらさき寂聴さんの花衣 花の雲寂聴源氏版重ね 推敲の漸うかなふ朝櫻 脊梁山脈みちのくの花の闇 中近東文化センターにて「白塔句会」開催の日あり 三笠宮行く手行く手の花の渦 振返ることもう要らぬ花の雲 十七代佐野藤右衛門花篝 音立てゝ天に到れる花篝 花篝天にほほゑむひとのこゑ |