aoilogo2019年4月藍生主宰句
囀れる
黒田杏子


あはゆきの熄む尼様と語る間に
選句天職雪を聴き花を待つ
  二月十日
雪中紅梅石牟礼道子微笑
零下二十度鈴木牛後詠む書く
  悼 徳島源久寺 岡村圭真先生 二句
涅槃会に発たれしおひとかなしまず
空海論お遍路講義とこしなへ
  二月二十日 日本記者クラブ主催「兜太先生一周忌」のつどい。トークセッション=下重暁子・嵐山光三郎・河邑厚徳・
  黒田杏子(司会) 東京新聞瀬口晴義と映画『天地悠悠 金子兜太俳句の一本道』封切上映。於 内幸町プレスセンター
語り尽くしてきさらぎの月満ちて
ほほゑみて母ほほゑみて雛かざる
かぞへきれざる雑草園豆雛
佛蘭西の老女一団雛店に
  嵯峨野僧伽寂庵 三句
桃の日や瀬戸内寂聴筆一本
筆擱きて足袋履きしめて雛の前
雛納めしていきいきと法話の日
雛店の雛納めこれたちまちに
吉徳本店全館の雛納めたる
つちふると平仮名で書き投函す
雛流す子ら奥只見雪解川
雛流す子らにちちははぢぢとばば
囀れるそのただ中にひと惜しみ
日記には朝顔の種蒔きしとのみ


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