![]() |
|
黒田杏子
|
お母さん節分草の鉢ですよ 朝日射す原稿用紙節分草 昇る日や節分草の花ゆらぎ 母とたづねてさまようて節分草 捨てられし村節分草日にひらき たづねあてたる節分草日遍し 母の句の節分草に日の昇り 母のこゑ節分草に朝の日矢 娘は三十母六十一節分草 山並の暁けゆく節分草の花 まぶしくて節分草の日の斜面 一花一花に光背を節分草 含羞の節分草にけさの日矢 石組の跡節分草ひらき継ぐ 無頼とも求道とも節分草ぎつしり 彷徨うて南面節分草の花 どつとひらく節分草に跪き もう誰も来ない節分草の村 言霊の野面節分草の花 母の恩節分草の花畳 |